先週の6連戦を5勝1敗で乗り切った巨人が、再び上昇気流に乗りつつある。だが本紙評論家の前田幸長氏は「チームの状態がいい時だからこそ、一日も早く後ろを固めた方がいい」という。現在はカミネロ、上原、マシソンの離脱もあり、代役守護神は澤村、アダメスらが務めているが…。前田氏は先発2本柱の一人で、先日ノーヒットノーランを達成した山口俊(31)の配置転換を提案した。

【前田幸長 直球勝負】5勝1敗と一見、好調に見える巨人だが、その内訳は先発6人のうち、3人(内海、メルセデス、今村)が完投。しかも内海と今村は完封と、先発陣の出来があまりにも良かった。ただ、今のセ・リーグでは先発が完投することはレアなケースで、試合展開によっては代打との兼ね合いもあり、今後もそうそう続くものではない。

 マシソンの離脱で代役守護神となった澤村は、3日の中日戦(ナゴヤドーム)で一死も取れずに、押し出しサヨナラ負け。翌日からアダメスが代役の代役を務めている。場当たり的な対処では根本的な解決にはならない。

 私も堀内監督時代の2004年、中継ぎ陣の崩壊で約1か月間、代役の抑えを務めたことがある。その年は3位となってしまったが、後ろがしっかりしないと先発陣への負担は日増しに大きくなる。先発が「自分が長い回を投げないといけない」と無理をして故障しては元も子もない。

 抑え投手の条件としては「空振りが取れる」「連投ができる」「コントロールがいい」「打者を力でねじ伏せられる」などがあるが、それを今のG投で満たしているのは山口俊だ。フォークを武器にする山口俊は実際、べイスターズ時代に抑えの経験もある。

 先日、ノーヒッターとなったばかりの先発の柱を、配置転換するのは難しいと思うが、投手陣はそれだけ非常事態だということ。先発投手は野上が2週間近く登板機会がないほか、二軍に大竹らもおり、代役がいないわけではない。それよりも抑えを盤石にしてチーム全体に安心感を与える方が優先度は高いと思う。

 終盤戦を見据えた戦いをするためにも、首脳陣は思い切った決断が必要だ。 (本紙評論家)