巨人は1日のDeNA戦(横浜)に7―1で連勝を飾り、ヤクルトを勝率で上回って2位に浮上した。試合を決めたのは、同日に栃木で会見を開いた村田修一内野手(37)から背番号25を引き継いだ岡本和真内野手(22)。決勝の19号勝ち越し3ランを含む2安打4打点の活躍で、野球人生の区切りを迎えた“師匠”に成長を示した。また村田と縁深いかつての仲間たちも、この日ばかりはしんみり。男の決断に、それぞれが熱い思いを口にした。

 新たな背番号25が横浜で輝いた。1―1の4回無死一、二塁。岡本は浜口のチェンジアップに体勢を崩されながらも完璧に捉えた。弾丸ライナーはベイの25番を背負う筒香の頭上を越え、左翼席へ突き刺さる19号3ラン。これが決勝弾となった。

 Gナインは、それぞれが特別な思いを抱えて試合に臨んでいた。前日に支配下選手の登録期間が終了。一夜明けたこの日、昨季までのチームメートだった村田が栃木・小山市内で会見を開き、NPB復帰を目指す道に区切りをつける意思を表明していたからだ。

 岡本も試合前、村田への感謝を口にしていた。

「憧れの選手だったので、いろいろ教えてもらって本当にうれしかったし、ありがたかった。自分は(村田を)ライバルと思ったことはないです。実力も経験も、天と地ほど差がありました」

 巨人の4番に座る今、村田の偉大さと背番号の重みを改めて感じている。「今年は『2桁(本塁打)打て』というふうにも言っていただいて。背番号に恥じないようにプレーしたいと思って毎日やっています」。師匠が大暴れしたハマスタで、巨人の25番は今も輝き続けていることを示した。

 岡本以外の多くのナインにとっても、感傷的な一日となった。村田を兄のように慕った後輩たちの中には、まだ現実を受け止め切れない選手も多くいる。ジャイアンツ球場でリハビリ中の坂本勇は「寂しいですね。修さんの人間性が大好きなので。まだまだ、ずっと(NPBで)プレーできた」と決断を惜しんだ。

 世界一に輝いた2009年のWBCも共に戦った内海は、もっと素直に“現役続行”を願った。「なんであんなにいい選手が…という気持ち。今年は(NPB復帰は)無理ですが、修さんの気持ちがまだあって、12球団で、もし手を差し伸べてくれる球団があるのであれば、諦めてほしくない」とストレートな思いを口にした。

 また「本人が引退を口にしていない以上、コメントは控えたい」という反応もいくつかあった。

 偉大な兄貴分を失った喪失感は今も巨人に残る。だが、いつまでも立ち止まってはいられない。この日、岡本の躍動を目にしたG党は、時計の針が着実に進んでいることを確信したはずだ。