5連敗後の3連勝で息を吹き返しつつあった阪神が、29日のヤクルト戦(神宮)でまさかの「大誤審」に泣かされた。8―8の7回裏、ヤクルトは一死二塁で代打の荒木が三塁前へゴロを放ち、打球を処理した三塁手の北條は三塁へ進もうとした二走の藤井にタッチを試みた。ところが藤井は北條を避けるように走路から大きくそれ、倒れ込みながら三塁に進んで判定はセーフ。記録は北條の野選となった。

 誰が見ても北條がタッチにいっているのは明らか。野球規則では「走者が野手の触球を避けて走路から3フィート以上離れた場合」はアウトとなることから、金本監督は責任審判でもあった飯塚三塁審判に猛抗議したが「北條選手に(タッチするという)タッグ行為がなかったのでインプレーとして試合を再開する」と却下された。結局、一死一、三塁で再開した直後に西浦の勝ち越し2点打が飛び出した。

 試合後の指揮官は「タッチにいって手を伸ばしているでしょ! 審判で協議し、ビデオで見て、といったができないということだった。対策? それは取るでしょ。抗議しないと納得いかない。終わったから済んだというもんじゃない」と怒り心頭。谷本球団副社長も「野球にならない。きちんと責任ある立場の方に検証してもらわないといけない。球団としては意見書を提出します。審判のご判断は尊重するが、ルールにのっとってのもの。かなり恣意的になっている。到底納得はいかない」と声を震わせた。

 先日は同じ関西球団のオリックスが本塁打を巡る誤審騒動で審判団から謝罪を受けたばかり。今回の判定も決勝点だったところは同様だが、飯塚審判員は2012年、当時現役だった金本監督と判定を巡って一触即発となった“因縁”がある。チーム内からは「金本監督を今でも目の敵にしているところがある。それが出たんだ」などと不満の声はやまなかった。