オリックス・福良淳一監督(57)のリクエスト巧者ぶりが注目されている。5日の阪神戦(甲子園)を3―2と制したが、この日も“必殺”リクエスト要求があった。

 1点リードで迎えた9回、先頭打者の中谷の三ゴロが一塁クロスプレーに。ボールがそれ、一塁手の小谷野の足がベースから離れたが、小谷野はその前にタッチしたことをアピールした。審判の判定はセーフ。ここで福良監督は“伝家の宝刀”を抜き、リプレー検証の結果、アウトに覆った。

 5月30日の中日戦(ナゴヤドーム)でもビシエドの本塁打判定をリクエストで覆したばかり。これで福良監督のリクエストは12回中8度判定が覆り、成功率6割6分7厘を誇っている。他球団の成功率が平均3割程度ということを考えれば驚異的な成功率で、もちろん12球団で断トツだ。

 これにはナインも「僕らはボールを近くで見ているけど、監督は遠くのベンチで見ているのにどうなったかがわかる。すごいですよ。上からとか立体的に見れる動物的な感覚を持っているんじゃないのか。監督がリクエスト要求したら“ヨシっ”って思いますもん」と舌を巻くばかり。球団関係者は「監督は二塁手の連続守備機会無失策の記録(804)を持っている。ボールがどこに落ち、そのプレーがどんな流れになるのかがわかるんじゃないのか」と守備の名手ならではの経験値がなせるワザと見ている。さらにナインは「選手のアピールを信じてくれる。信頼してくれている証拠ですよ」。自軍の選手を信じる姿勢も成功率につながっているようだ。

 当の福良監督は「選手にはおかしい、と思ったらすぐにアピールしろ、と日ごろからコーチを通じて言ってる。俺はそれを見て言っているだけや。動物的感覚? そんなんないわ」と笑い飛ばすが、一般的にフィールドを上空から俯瞰するような、特殊な空間認識能力を持つアスリートは「ホークアイの持ち主」などと呼ばれる。まさに“リクエストの化身”ともいえる「福良ホークアイ」のおかげで、チームは今季最多の貯金2。オリックスの視界も良好だ。