中日が3日の日本ハム戦(札幌ドーム)に5―2で勝利。負ければ最下位転落の危機をしのいだベンチ裏で話題となっていたのが、今季初めて「9番・二塁」でスタメン出場した荒木雅博内野手(40)の“不死身ぶり”だ。

 9回に今季初安打となる左中間二塁打を放った23年目のベテランは「開幕しましたね、いよいよ」とホッとした表情を見せたが、ここまで並外れた精神力で不遇を乗り越えてきた。

 オープン戦では打率5割と結果を残していたが8年ぶりとなる二軍スタート。二軍戦でも打率3割超えの好成績を残しながら、若手にチャンスを与えるため、ここまで一軍昇格(6月1日)が見送られてきた。

 実は4月27日のソフトバンクとの二軍戦でスライディングで帰塁した際、左ヒザ下がパックリ裂け、10針以上を縫う大けがを負っていた。「骨が見えていたけど、痛いのかゆいの言ってられる立場じゃなかった。その10日後には普通に走れたし、すぐに(5月9日からの)試合にも出ていた。とにかく一軍に上がれるように必死にやってきた」(荒木)ときっぱり。

 あるスタッフは「荒木の気力、体力はあり得ないぐらいすごい。下でよく腐らなかったと思う」と舌を巻く。今季の中日は松坂、岩瀬、吉見、この日2勝目を挙げた山井ら、ベテラン勢の活躍が目立っているが「不死身の荒木」もここから大暴れしてくれそうだ。