意外なところで“大谷効果”が発揮された。キッカケとなったのは、エンゼルスの大谷翔平投手(23)がメジャー移籍後最速の101・1マイル(約163キロ)をマークした5月30日(日本時間同31日)のタイガース戦だ。その最速球で投ゴロに倒れた24歳の三塁手、カンデラリオが試合後にロッカールームへ戻るとスマートフォンに一通のメッセージが届いていた。送り主は今年3月末に自律神経の病気などを理由にソフトバンクを退団した川崎宗則氏(36)だった。

 昨季途中までカブスに在籍していたカンデラリオにとって、川崎氏は傘下の3Aアイオワで苦楽をともにした元チームメート。送られてきたのは「オオタニと僕が対戦している動画」でテレビの試合中継を録画したものと見られる。親友からの久しぶりの連絡に、カンデラリオは「カワ(川崎氏)は僕の大親友なんだ。本当に会いたい。僕だけじゃなく、みんなカワを愛している」と興奮を隠せない様子だった。

 局地的ではあるが、北米では同様の「カワサキ・ロス」現象が起こっている。先日、エンゼルスがトロント遠征した際には、川崎氏がかつて在籍したブルージェイズのギボンズ監督が地元記者から大谷に関する質問に丁寧に答えた後に「カワサキは今、何をしているんだ。彼の話がいいな」と切り出して場を和ませる一幕があった。また、ロジャーズ・センターのチームストアでは、選手が実使用したユニホームなどが販売されているコーナーで川崎氏の66番に700カナダドル(約6万円)の高値がつけられていた。先月末にブレーブスからメッツへ移籍したばかりのバティスタも、ブルージェイズ時代に僚友である川崎氏に思いをめぐらせ「また一緒に酒を飲みたいね」とラブコールを送っている。