<ソフトバンク1-0阪神(29日)>ついにピリオドが打たれた。阪神・鳥谷敬内野手(36)の連続試合出場記録が歴代2位の1939試合で止まった。29日のソフトバンク戦(甲子園)は8回まで0―0の展開で、1点を追う9回もベンチスタートのベテランに出番なし。そのまま試合は0―1で終わった。偉大な記録が途切れたことで、チーム内からは鳥谷の“二軍再調整”を求める声が上がっている。

 試合終了が近づくにつれ、甲子園球場が騒然となっていった。9回、走者が出た場面でも鳥谷はネクストバッターズサークルに行くこともなく、ベンチに座ったまま戦況を見守るだけ。最後は中谷が空振り三振に倒れたのを見届け、足早にベンチ裏へ引っ込んだ。

 新人だった2004年9月9日のヤクルト戦(甲子園)から続いた連続試合出場は衣笠祥雄の2215試合に次ぐ歴代2位の1939試合でストップ。クラブハウスへ引き揚げる鳥谷は「いつかは止まるものなので。いいときも悪いときもケガをしたときも使ってくれた(歴代の)監督たちに感謝したいです。話し合い? それは別に説明することではないので…」と冷静に振り返った。

 自身も歴代3位となる1766試合の記録を持つ金本監督は「(起用する)場面がなかった。できるだけというのは一昨年からずっとあった。スタメンで出てない時は配慮もしたし、感謝の気持ちを示してくれていた。ただ、いつまでもというわけにはいかない。試合をやっている以上、状況がある。本人も特にこだわっていないと言っていたので」と説明。打率1割4分3厘と開幕から不振が続いていただけに、断腸の思いで決断した。

 ついに数年来の“鳥谷問題”に終止符が打たれたことで、気になるのは今後だ。指揮官は「考えていない」と二軍行きを否定したが、チーム内からは“ファーム調整”を勧める声が噴出。「現状では一軍に置いていても使いどころがない。DHもあって代打が出しにくい交流戦中ならなおさらだろう。いっそファームでスタメンでしばらく試合に出て実戦勘を取り戻した方がいい。もともと試合に出ながら調子を上げていくタイプだし、若手と汗を流すことで新たな発見もあるはず」(球団幹部)

 常に第一線で活躍してきた鳥谷にとって、ファームは未経験の地。しかし、本人とチーム双方にとって二軍での再出発がベストと見られている。開幕から打撃不振とはいえ、起用を巡っては「福留のようにスタメンで使いつつ、休みを入れていくスタイルならもっと数字は残せるはず。不調だからといって1打席のみの代打や守備固めなど極端過ぎる」(阪神OB)と同情論もあった。まだ老け込むには早い。ここから鳥谷がどう這い上がってくるかに注目だ。

【連続試合出場記録】歴代連続試合出場1位は衣笠祥雄(広島)の2215試合。2位が鳥谷で、3位は金本知憲(広島、阪神)の1766試合。4位は松井秀喜(巨人)の1250試合だが、松井の場合はヤンキース移籍後の記録も合算すると1768試合となる。また、金本は1767試合目にも代打で出場したが、打席の際に走者が盗塁に失敗してそのイニングが終了。その後の守備にも就かなかったため、打撃を完了していなかったとして連続試合出場がストップした。