<DeNA3-2中日(24日)>勝ったDeNAは巨人サマサマ、負けた中日は巨人憎しだ。DeNA・筒香嘉智外野手(26)が24日の中日戦(横浜)で同点の3回に通算150本塁打となる決勝の12号ソロを放った。今季は開幕から低空飛行が続いていたものの、直近5試合で6本塁打と絶好調。前カードで3戦5被弾と寝た子を起こした2位巨人は3位DeNAに0・5ゲーム差と肉薄された。

 0―2の3回、ロペスの15号2ランで追いついた直後だ。吉見が投じた初球の内角へ入ってくるスライダーを一閃。打球は場外へ飛び出しそうな勢いで加速し、V弾となるメモリアルアーチが右翼席最上段へ突き刺さった。26歳5か月での150号到達は球団最年少記録。それでも筒香は「150号はそんなに大きな数字と思っていない。今日、チームが勝ったことの方がうれしい」と、いつも通りにクールな口調で話した。

 今季は開幕から調子が上がらず苦しんだ。4月終了時は打率2割4分1厘、6本塁打、20打点。5月に入っても一進一退で、今季初めて4番に座った15日の阪神戦の時点でも3番に“昇格”したロペスが打率3割2分8厘で11本塁打だったのに対して、筒香は2割4分4厘で6本塁打。チーム関係者も「(筒香は)表情もどこか暗かった」と振り返る。

 それが一転したのは前カード(18~20日)の巨人戦だ。初戦に菅野から先制2ランを放つ(試合は逆転負け)と、2戦目は田口から初回に先制2ランをマーク。10―2と大勝した3戦目は3本塁打を含む4安打4打点の荒稼ぎで完全復調した。坪井打撃コーチも「良くなったのは巨人戦ぐらいから。それまでずっと悪かった。あれぐらいの選手になると(復調は)きっかけ一つ。打てるようになって選球眼も良くなった。本当に悪い状態は脱したと思う」と証言する。

 まさに巨人サマサマといったところだが、対照的に“恨み骨髄”なのが中日だ。チーム内からは「せっかく眠っていた筒香を起こしてしまうなんて巨人は何てことをしてくれたんだ」やら「ウチは筒香に田島とジーが1本ずつ打たれていただけだったのに、頼みの吉見が一発を食らって今季初黒星までついた。今後、ウチの投手陣に悪い連鎖が起きなければいいけど…」といった声が飛び交った。連勝が3でストップし、森政権下では初となる2年ぶりの3位浮上を逃したのだからなおさらだ。

 日本代表の4番も務める筒香が覚醒したとなれば、来週から始まる交流戦やペナントレースの行方をも左右しかねない。巨人が“寝たゴウ”を起こしてしまったことで、今後も泣きを見るチームが増えそうだ。