ソフトバンクの内川聖一内野手(35)が9日の西武戦(メットライフ)の8回に武隈から中前打を放ち、史上51人目の通算2000安打を達成した。プロ18年目、節目の1800試合目で大台に到達した希代のバットマンに祝福のメッセージを送ったのが親交のある元プロレスラー・佐々木健介(51)だ。健介から熱いエールを受け取った内川も2000本の先として、一流の美学にこだわり高みを目指していく思いを口にした。

 年齢はひと回り以上違うが、同じ8月4日生まれ。内川がプロレス好きで健介のファンだったこともあり、横浜(現DeNA)時代から親交を重ね、内川と翼夫人の披露宴には妻の北斗晶とともに出席もしている。

 2000安打達成について健介は「内川君おめでとうございます。常に上を見て頑張り続けてきたことが結果につながったと思うし、まだまだ終わる男じゃないと思ってる。けがをしないでと言っても、付きものの世界だけど、そういったことも乗り越えて、全力でスピードを落とさずに頑張ってほしいです」と祝福した。

 健介は内川について「本当に気さくで、それでいて義理堅いというか、男くさいというか」と話す。家族で福岡旅行をしていた際には、球場近くのホテルに宿泊していることを知った内川夫妻がデーゲーム後に会いに来たこともあった。「内川君は試合もあったし、気を使わせてはいけないと思ってたんですけど。とりあえず『福岡に来てるよ』とだけ言ってたら、サプライズで来てくれて…」

 また、現在はテレビ復帰もしている北斗が乳がんと闘病していた際には、再びサプライズに夫婦で涙した。贈られてきたのは一枚の絵画。北斗が大好きで思い入れのあったスペイン・アンダルシアのひまわり畑を家族が楽しそうに見ているものだった。「今も家に飾ってます。たくさんのファンの皆さんや、内川君みたいな人がいてくれたおかげだと思ってます」と改めて感謝の思いを述べた。

 そんな健介は内川の「2000本の先」について、健介流の“全力疾走”にも期待を込めた。人気プロレスラーだった健介だが、現役バリバリだった2014年2月、弟子の中嶋勝彦にシングルマッチで敗れ電撃的に引退している。「野球とプロレスで違うかもしれないけど。僕の生き方は『太く短く生きる』というもの。練習も試合も全力でやってきた。内川君にも行けるところまで全力で行ってほしいなと思います」とエールを送る。

 現在、内川は35歳。衰える年齢ではないと力を込める。「僕も偶然ではないが、若い時に35歳くらいから力が落ちてくると言われてきたけど、そのころから力が上がってきた。内川君もコツコツと、そして中身濃くやってきているから、それが出ると思うんです。35歳までどう取り組んできたかで、35歳からの人生が変わると思うんです」

 そして「あと何年かとかではなく、これからだというつもりで行けるところまで行ってほしい。よそ見せずにやってきている内川君だから。実力も大切だけど、けがを乗り越えてもきている。苦しみや悲しみを乗り越えて強くなれると僕は思っているので」と熱く続けた。

 内川も健介流の生き方には共感するところもあるようだ。「もともとプロレスが大好きで憧れの人なんで。リングのスタイルも真っすぐぶつかっていく。それが好きで。強さの中に優しさがあるというか。あの年まであのパフォーマンスを保てるのはなかなかできることではないし、引退というものもみんなが予想するものではなくて、きっぱり辞められた。格好良さと言うとおかしいですけど、ああいうのっていいなとも思いました」

 内川も年齢に関係なく常に高みを目指す思いは変わらない。「35歳になったからどうとかは思ってないし、ずっと完璧なんてないと思ってやってきてるし。何歳になったからどうとかは考えてないですね」。そして、以前には40歳現役を掲げたこともあったが、今後の思いについてはこう打ち明ける。

「もうこれでいいかと思ったら40歳にいかなくても辞める可能性だってあるだろうし。自分の中で自分のパフォーマンスだったり、チームのために何ができるのかということを考えて、できているうちはやれるでしょうけど。自分の中でこれだと厳しいなとかなるなら頑張ってしがみついてまでやろうとは思わないし、意外とあっさり辞めるんじゃないかなと思いますね」
 
もちろん、希代の安打製造機はその日まで、脇目も振らずに全力で走り抜く。その結果として、さらなる快挙が生まれるかもしれない。