若ゴイが投打の垣根を越えてエキスを注入している。広島は8日のDeNA戦(マツダスタジアム)が雨天のため中止となり、9日の同カードは予定通り岡田が先発することが決まった。そんなチームが首位を快走するなか、日に日に存在感を強めているのが高卒2年目・アドゥワ誠投手(19)だ。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ196センチのハーフ右腕は開幕一軍をつかみ取ると、4月4日のヤクルト戦でプロ初登板。当初は敗戦処理やロングリリーフといった起用だったが、開幕から10試合連続無失点と首脳陣の期待に応え、現在は「勝利の方程式」につなぐ役割を担っている。

 ここまで12試合に登板して防御率0・60。安定した成績を残している要因についてアドゥワは「スイッチの切り替え」を挙げる。「昨季までは(二軍の)試合中、ずっと集中していた。それは大事なことだと思うけど、ずっとは続かない。今は中継ぎというポジションだからかもしれないけど、オープン戦のときから先輩たちを見ていて考え方が変わった」。試合開始後も極力リラックス状態を保ち、ブルペン陣で談笑もする。ただ、準備段階のキャッチボールに入ると、登板マウンドに向けてオンの状態にしている。

 一方、野手にも頼れる先輩がいる。鉄壁の守備で投手陣を何度も救っている菊池だ。「菊池さんにはシーズンに入ったころから何度か食事に連れて行ってもらっている」。ポジションは異なるものの、赤ヘルをけん引する“兄貴分”からプロとしての心構えなどを伝授されている。

 登場曲を米国のポップシンガー・Dawinの「Jumpshot」から突然、黒人演歌歌手・ジェロの「海雪」に変更したが、これも菊池の助言によるものとか…。二十歳前の若者にとってこぶしの効いた演歌は敷居が高いのか、アドゥワ本人はしっくりきていない様子だが、気にかけてくれる先輩の“魂”を継承して2年目の飛躍につなげたいところだ。