【カリフォルニア州ロサンゼルス10日(日本時間11日)発】ドジャースからFAになったダルビッシュ有投手(31)がカブスと6年総額1億2600万ドル(約137億円)で合意した。出来高を含めると最大1億5000万ドル(約163億円)。ドジャース、ヤンキース、ブルワーズ、アストロズ、ツインズ、レンジャーズなどが争奪戦に参加し、売り手市場と思われたが交渉は難航。14日(同15日)からのバッテリー組のキャンプイン直前に決まった。

 キャンプインが4日後に迫る中、ダルビッシュは満額回答を手にした。「ワールドシリーズ(WS)に出て活躍したいという目標になった。そういうチャンスのある球団がベスト」と「年俸2500万ドル以上、契約年数6年以上の大型契約」だ。一昨年のWS王者で昨年、ナ・リーグ中地区を制したカブスはベストのチーム。名将マドン監督は日本人選手にも理解がある。

 FOXスポーツのケン・ローゼンタール記者が自身のツイッターでこの日、「速報‥ダルビッシュ有がカブスと6年1億5000万ドル級の契約をしたと、あるソースが(スポーツサイトの)ザ・アスレチックに明かした。身体検査待ち」とツイート。さらに「年俸1億2600万ドル」と続けた。これを受け、一斉に米メディアが報じた。

 ダルビッシュは先発投手としてはメジャー最速の128試合で通算1000奪三振に到達。奪三振率(9回あたりの三振数)11は通算750回以上投げている投手では歴代1位。今オフの米各メディアのFA選手のランキングでは常に1位か2位だった。今オフの移籍市場の最大の目玉だった大谷翔平投手(23)が昨年12月8日にエンゼルスとスピード合意。市場が一気に動き、年内にも合意かとの報道もあった。それがここまでずれ込んだ。何があったのか。

 逆風になったのは買い渋りだ。今オフは財政的に余裕のある球団でも、年俸総額を削減するため大型契約を避ける傾向が強い。代理人から批判の声が相次ぎ、米大リーグ選手会は現時点での100人を超える未契約者のために、独自のキャンプを行うと発表している。

 8月に32歳を迎えることもネックになった。実力に疑いはないが、長期契約はリスクと捉えられたのだ。2月に入り、複数の米メディアが「1億ドル(約108億7000万円)を超えるオファーを複数の球団が出している」と報じたが、契約年数は「4年」か「5年」と希望に届かなかった。また、ドジャースとヤンキースの年俸枠が空くのを待っているのではとも報じられた。

 そんななか、カブスは満額オファーを出した。カブスはチームからFAになったサイ・ヤング賞右腕ジェーク・アリエッタ(31)との再契約も選択肢だった。安定感のアリエッタよりも、剛腕ダルビッシュの方が世界一奪還の力になると判断したのだ。

 実際、好調時のダルビッシュの投球は圧倒的。カブスと戦ったナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦では6回1/3を6安打1失点、7三振1四球とネジ伏せられている。どうしても欲しいカブスは1月22日(同23日)にレンジャーズ時代の専属捕手だったジメネスとマイナー契約。布石を打った。

 CBSスポーツ(電子版)は「この契約でカブスはレスター、ヘンドリックス、キンタナとダルビッシュの4人のフロントラインの先発が揃った。今は何よりも、カブスの勝利。先発強化しただけでなく、ダルビッシュをブルワーズへ行かせなかったのだから」と歓迎した。

 新天地・シカゴで迎えるメジャー7年目。悲願の世界一のために三振の山を築く。

【これまでの動き】

 2017年11月2日 FA公示される。

 同11月3日 米大リーグ(MLB)公式サイトが発表したFAトップ25選手で1位に選ばれる。

 同11月12日 代理人ウルフ氏が「既に数球団が接触してきている。まだ、聞く側」と発言。

 同12月12日 ドジャースのザイディGMが「活発な交渉を行っている」と明言。

 同12月13日 ツインズのモリター監督が「(契約の)進展を待っている」と獲得を期待。

 同12月18日 カブスのエプスタイン編成本部長、ホイヤーGMらとダラスで3時間半交渉。

 同12月19日 アストロズのルノーGMら4人とダラスで交渉。

 同12月20日 レンジャーズのダニエルズGMと会食。

 同12月21日 一部のカブスとの合意報道に自身のツイッターで「フェイクニュース」と否定。

 18年1月10日 米メディアのレンジャーズ、アストロズ、ヤンキース、カブス、ツインズが候補との報道に、「もう1球団ある」とツイート。

 同1月12日 ヤンキースが7年1億6000万ドル(約174億円)を提示との報道に「オファーは受けたが金額は正しくない」とつぶやく。

 同1月20日 ツインズのポーラッド・オーナーは球団が獲得を決めた場合、適正な金額内で承認すると明言した。

 同1月31日 ブルワーズのアタナシオ・オーナーが「彼は明らかに最高の投手の一人」とラブコール。

 同2月7日 米紙USAトゥデー(電子版)は「複数球団が総額1億ドル以上のオファーを出している」と報じた。

(年月日は現地時間)