松井秀喜氏“変心”巨人キャンプで熱血指導したワケ

2018年02月08日 11時00分

小林(右)に打撃指導する松井氏

 ゴジラ塾が初日から想定外の開講だ。2年ぶりに巨人の臨時コーチを務めるOBの松井秀喜氏(43=ヤンキースGM特別アドバイザー)が6日、宮崎春季キャンプに合流し、小林誠司捕手(28)を熱血指導した。しかし、松井氏の意向ではこの日は基本的に選手にノータッチだったはず。そのスタンスを180度曲げた背景には、村田真一ヘッド兼バッテリーコーチ(54)による“ファインプレー”があった。

 ゴジラ上陸にキャンプ地が沸いた。午前10時26分、メイン球場のサンマリンスタジアムに登場した松井氏はスーツ姿から身支度を整え、木の花ドーム(室内練習場)へ向かった。この日は低温のため練習の大半が同施設で行われ、松井氏の動きに合わせて大勢のファンはもちろん200人近く集結した報道陣も大移動となった。

 松井氏は出迎えた由伸監督と固い握手を交わすと、まずはブルペンで投球練習中だった畠ら投手陣を視察。その間もエース菅野や坂本勇、新助っ人のゲレーロら選手だけでなくチーム関係者がひっきりなしにあいさつに訪れ、さながら“ゴジラ詣で”が繰り広げられた。

 そして、野手陣の打撃練習が始まると松井氏はケージ裏からジッと目を凝らした。中でも熱視線を送ったのが今季ブレークが期待される大砲候補の岡本で、見る角度を変えながら入念にチェックした。2年前にも指導した経緯もあり、気になる存在だったのだろう。

 ただ、ここまで松井氏が一貫していたのは直接指導はせず、一定の距離を置いていたことだ。松井氏周辺によれば、この日はまず選手たちの現状を見極めるため静観に徹することを決めていたという。しかし、事態が急変したのは全体練習終了後の居残り特打でのこと。ケージ裏で小林にアドバイスを送り始め、最後のティー打撃では完全にマンツーマンとなり、身ぶり手ぶりを交えながら直接指導したのだ。

 すべての練習を見届けた松井氏は「監督をはじめ懐かしい方々といろいろ話し、練習もたっぷり見られた。選手がシーズンに向けていい形になれるようにお手伝いできれば」と充実の表情を浮かべたが、小林への助言内容は一転して「秘密です」とニヤリ笑った。

 それにしても、なぜ初日から小林を直接指導したのか。松井氏は「(経緯?)忘れちゃった。すぐ忘れちゃう」とトボけたが、由伸監督が小林だけでなく岡本、吉川尚の3人の名前を挙げて松井氏に要請したことも後押しとなったことは間違いない。

 ただ、トドメとなったのは村田真ヘッドの言葉だった。松井氏が練習場入りしてからピッタリと傍らに寄り添い、雑談を交えながら気持ちをほぐし、徐々に“本題”へと切り込んだ。

「俺は小林にはこんなことをやらせてるんやという話をしとったんや。今日はちょうど捕手が特打に入っているから『教えてくれ』と言ったんやけど『初日は(指導せずに)見ます』って言うから『どうせ、お前すぐ帰るんやから、基本はこうやでとか、好きなこと言ってから帰ってくれ!』って言ったんや。(松井氏は)すごい打者なんやから。同じことを言うのでも説得力が違うからな」(村田真ヘッド)

 選手たちにとって松井氏は偉大すぎる存在で、特に若手たちにとっては雲の上の存在。自ら助言を求めるのにはハードルがあまりにも高い。由伸監督も「最初はきっかけをつくってあげないとね」と状況は理解しているだけに、村田真ヘッドの援護射撃は大きな一打。今後も村田真ヘッドが、ゴジラとナインをつなぐ橋となりそうだ。

 松井氏は12日に宮崎を離れる予定で時間は限られている。2年前のゴジラ塾をきっかけに坂本勇は同シーズンで初の首位打者に輝いた。効果はテキメンだけに、今後が楽しみになってきた。

★小林は感激=小林が松井氏の密着指導に胸を熱くした。全体練習後、松井氏は特打を行う小林の打撃ケージ横に座り熱視線を送った。午後3時40分から約1時間、身ぶり手ぶりを交えながら徹底指導。これには小林も「打撃で下半身の使い方、ボールとの距離感を教えてもらった。自分は前足(左足)がボールを探りにいってしまう。前に打ちにいってしまう。(体重の)9割軸足(右足)のようなそういう話をしていただいた。すごく分かりやすかった。試していきたい」と感謝しきりだった。小林は2016年2割4厘、17年2割6厘と2年連続で規定打席到達者の中で最下位。岡本、吉川尚ら若手有望株が居並ぶ中での指名に小林は「意外だった? ボクも思いましたけど感謝したいです。(指導は)個人的には2年前も少し話したけど個別は初めてでした」と喜びを隠せなかった。