ヤンキース田中将大投手(29)が24日、仙台市内の六郷小学校を訪問し児童と交流した。田中の発案で昨年から開催しているもので、自主トレを共にした楽天・則本や松井裕らも参加。ここで右腕は親睦を深めた小学生に何とも“深イイ”座右の銘を贈った。

 イベントの序盤で質問コーナーが行われ「大切にしている言葉」を聞かれた田中は「ネバーギブアップ」と即答。「自分が難しい問題、厳しい状況にいても逃げずに立ち向かって、戦い続ける。これからも僕はそうしていきたいと思います」と語った。

 田中の座右の銘といえば「氣持ち」のはず。グラブにも刺しゅうを入れるほど強いこだわりを持っている言葉だが、なぜ変わったのか。「『氣持ち』って、あそこの場面で言って(小学生に)伝わると思います?」と“小学生用”に用意した言葉であるとしたが、理由はもう一つあった。それは田中本人が「プロ野球人生で一番」とまで語った昨シーズンの大不振だった。

 田中は5月14日(日本時間15日)のアストロズ戦から6月17日(同18日)のアスレチックス戦まで6連敗を喫した。打ち込まれ、叩かれる試合が続いたが「ここ(5月)がすごい低いところだから、徐々に徐々に上っていって9月、プレーオフの大事な時期で最高のパフォーマンスができるようにしようと思って取り組んできた」(田中)。チームのポストシーズン進出を想定し、そのマウンドまでに完全克服するというプランを立て、地道に取り組んできた。

 その結果、レギュラーシーズン最終登板となった9月29日(同30日)のブルージェイズ戦で7回15奪三振、無失点。そして圧巻のポストシーズンの快投と続いた。「結果的にはそうなってよかったです」と淡々と振り返るが、まさに有言実行。プラン通り結果を残した。

 昨シーズンを振り返るとき、田中はいつも「いろんなことに対して立ち向かっていった」というフレーズを口にしてきたが、それこそ「ネバーギブアップ」。4か月以上を費やし見事に克服した実体験が、あの発言にはあった。

 よく聞くフレーズではあるが、実は重みのあるものだった。