早穂さんが初めて見た中継ぎの夫・マエケン 共に闘った6月の苦難

2018年01月11日 11時00分

早穂さんは昨季もスタンドからファン同様、声援を送り続けた(早穂さん提供)
元局アナ 青池奈津子の「メジャーオフ通信」特別編(2)

 メジャー1年目の手探り状態から脱し、だいぶ自分たちのペースで日々を過ごせるようになった2017年の前田家。しかし、前田健太投手(29)は“2年目のジンクス”か開幕直後から相手打線に打ち込まれ、5回前後で降板するケースが多かった。ついには6月に一時的に中継ぎに配置転換された。プロでは一貫して先発投手としてマウンドに上がってきただけに調整は難しかっただろう。妻・早穂さんも挑戦という意味では同じだった。

「(キャンプ地の)アリゾナにはだいぶ慣れて、家もちゃんと快適なところに住み、それなりにできて…」と万全な状態で開幕を迎えた。ちなみに1年目は立地は不便、お湯が出なくなるシャワーに電気式コンロで料理をしていた。

「ただ、シーズン序盤で結構打たれてしまって、どうしたの?って」

 1年目に16勝を挙げたことで対戦相手にデータを徹底的に分析された。その結果、投球パターンが読まれ、打たれた。2年目の試練。調子がなかなか上がらず、17年は苦しいスタートだった。

 そんな時の前田投手は…。「打たれたら、落ち込みますよ。でも、シーズン序盤から落ち込んでいてもしょうがないし、感情的に落ち込んでずっとズルズルするっていうのが好きではないので、なんで打たれたのか、どうやったら解決できるかを考えながら過ごそう、みたいな話を2人でしていました」

 良くも悪くも前田投手にはあまり趣味がないそうだ。気分転換は愛娘と遊ぶか買い物くらい。でも、試合で結果は良くなくても家に帰って食事をしたら翌日に気持ちを切り替えられるシンプルさが強さなのだろう。

「詳しくは分からないけれど、夫もいろんな人にアドバイスを聞きながら配球を変えたりしていたみたいです」

 しかし、前田投手は踏ん張ってはいたが、先発投手層の厚さも相まってチームは6月に一時的に中継ぎへの配置転換を言い渡す。慣れない役割に対する戸惑い、米メディアのあおり、周囲のプレッシャーと、さらに戦うものが増えた。それは、決して前田投手だけではなく、隣でサポートする早穂さんにとっても新たな挑戦だった。

「付き合ってから今まで先発の夫しか見たことがなかったから、先発に向けての食事の作り方をしていたんですよ。例えば、登板3日前から炭水化物を増やすだとか、登板直後はタンパク質増やして回復していくとか。メジャーに行って今まで中5、6日で投げていたところから中4日になって、その時点で回復させる時間が減ったから難しいなと思っていたんですが、なんとか1年やってこれて、2年目もリズムが作れていた矢先にブルペンになったので、食事をどうしようと思って」

 しかも、6月9日のレッズ戦は救援、同18日のレッズ戦は先発、同23日のロッキーズ戦は救援、同27日のエンゼルス戦は先発と、素人が見てもなんともリズムのつかみにくそうな起用法だった。

「ブルペンでも、ある程度の間を空けてもらっているんだけど、でも行くって言っていた日に行かなかったり、行かないって言われていたのに急に投げたり、そこが難しかった。『肩はつくっているけど投げていないから…』『でもやっぱ回復はさせないとダメだよね…』『でも次も投げるかもしれないからエネルギーも多めにとっておきたい…』とかいろんなことを考えていて、ブルペンの食事って難しいなと思いました」

 二人三脚で試行錯誤を繰り返しながら、あっという間に過ぎた1年。

 前田投手はなんとか乗り切った。しかもポストシーズンでは救援投手として「前田がマウンドに上がったらもう大丈夫」と思わせてしまうほどの信頼を勝ち取った。

 ☆まえだ・さほ 1985年7月19日、千葉県生まれ。フェリス女学院大時代、テレビ神奈川「みんなが出るテレビ」でリポーターを務める。在学中に「ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター」の資格を習得。2008年4月、東海テレビにアナウンサーとして入社。10年10月末に退社後、フリーに転向。15年2月、初のレシピ本「前田家の食卓」(幻冬舎)を出版。

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