【カリフォルニア州ロサンゼルス8日(日本時間9日)発】ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指していた日本ハムの大谷翔平投手(23)のエンゼルス入りが決まった。エンゼルスが発表した。9日(同10日)に記者会見が行われる予定だ。米メディアによるとメジャー27球団が参加したとされる大争奪戦。交渉期限が米東部時間22日午後11時59分(同23日午後1時59分)と余裕が残された中でのスピード決着だった。大谷はなぜエンゼルスを選んだのか。

 メジャーリーグ関係者、米国の野球ファンも驚く決断だった。27球団が参加したとされる争奪戦。文書による“1次選考”を通過した7球団の中で、米メディアが本命に挙げていたのはマリナーズとパドレスで、エンゼルスは「無印」だった。それでもエンゼルスは6日(同7日)にツインズとのトレードで25歳未満のドラフト対象ではない外国人選手に使える契約金の枠を100万ドル(約1億1300万円)増額し、231万5000ドル(約2億6200万円)とし、金銭面でも最善を尽くした。

 なぜ、早期にエンゼルス入りを決断したのか。総額2億ドル(約226億円)の価値があるとされる大谷だが昨年締結された労使交渉によって、契約金が最高でも約5億7000万円に制限され、巨額年俸での複数年契約が結べなくなったことで金銭面は重視されなかった。また、1次選考で落選したヤンキースのキャッシュマンGMは「大谷は西海岸で中小規模の都市を希望しているようだ」と明かした。ロサンゼルス近郊のアナハイムに本拠地を置く、エンゼルスはまさに条件にかなう。

 それだけではない。代理人のネズ・バレロ氏は声明文でこう明かした。

「今朝、じっくりと細かく検討した結果、大谷翔平はエンゼルスと契約することにいたしました。最終的に、彼はエンゼルスとの強い縁を感じ、彼のメジャーリーグでのゴールに大きな助けとなると信じています。翔平が何をもとに決断を下すか、たくさんの臆測が飛びましたが、彼にとって最も大事だったのは、マーケットの大きさでもタイムゾーンでもリーグでもなくエンゼルスとの真のつながりでした。彼は、エンゼルスが彼を次のレベルに押し上げ、目指すゴールに到達するのにベストな環境だと感じています」

 文書による1次選考、4日(同5日)に行われた面談でビリー・エプラーGMが、大谷が抱いている二刀流に対する不安を解消すべく綿密な育成・起用プランを提示。大谷も納得したのだろう。エプラーGMはヤンキースが2014年に田中将大投手を獲得した際に、ヤンキースのGM補佐として大きな役割を果たしている。その経験が生きたのは間違いない。

 エンゼルスはかつて長谷川滋利氏、松井秀喜氏がプレーし、日本人に理解がある。今季、ア・リーグ西地区2位とはいえ、80勝82敗で首位アストロズとは21ゲーム差だった。先発投手の勝ち星44はメジャー26位、チーム打率2割4分3厘は同26位、同本塁打186本は同24位と大谷の投打の力を必要としている。

 地元紙オレンジカウンティー・レジスター(電子版)は「大谷は金曜日の朝、エンゼルスとの契約を決断し、野球界を震撼させた。これまでニューヨークやドジャースなどのビッグネーム球団、マリナーズのように日本人選手との歴史が深い球団と契約するとみられていたのだ」と大興奮。

 さらに同電子版は「エンゼルスはまだ公式に契約内容を明かしていないが、これでスーパースターのトラウトと合わせ2人の花形選手を得たことになる」と若きスーパースター、マイク・トラウト外野手(26)との合体に期待を寄せた。この2人にメジャー通算614本塁打のアルバート・プホルス内野手(37)が加われば、メジャーでも屈指の打線。本当に来季が楽しみだ。