22日、早実・清宮幸太郎内野手(3年)がプロ志望届の提出を表明したことを受け、阪神は四藤球団社長が清宮の会見終了から約1時間後に「くじ引きになるとは思いますが、ぜひとも1位で指名させてもらおうと思っている。金本監督とも話してそれでいきましょうと。既定の方針なんです」と明言した。

 チーム内には「投手補強の方が急務」との意見も少なくないものの、球団は異例の3年連続野手のドラフト1位指名に踏み切る。四藤社長は「将来性、素材としてのスケールの大きさ。やはり4番、大砲はウチの大きな補強ポイント。注目される環境の中で111本も打っている。これはすごいこと。(指名球団が)複数になるだろうがそれを承知で決めている。運に任せるしかない。くじ引きの練習をしておかないと」とも口にした。

 清宮サイドとの面談では伝統球団として最大限の“誠意”を見せつける構えで「チーフをはじめ、スカウト全員で阪神球団の方針など説明できれば、と思っている」という。それだけではない。清宮の夢でもあるメジャー挑戦についても寛容な姿勢。ある球団首脳は「当然、基本は日本の野球界でずっと頑張ってもらうことが第一」と力説しながらも「(面談の)席上、そういう話になったらこっちは一切、認めませんという話はできない。ポスティングなど制度があるわけだし、井川の例もあるのはある。先の話だけど(メジャーに)行かせたいなと(球団が)なればその時に判断する。考えないといけないということ」と明かした。

 阪神はもともとポスティング制度には消極的で、過去にその制度で海を渡ったのは2006年オフにヤンキース入りが実現した03、05年V戦士の井川だけ。だが、清宮には早速「メジャー、絶対ダメ!」ではないことを示すわけだ。

 くじ引き役濃厚の金本監督は清宮について「野球人として興味はある。木のバットであれだけ飛ばすんだから。なかなかいない。甲子園で左は不利やけど」などと評しながら「やっぱり力あるなら(早く)プロ行ったほうがいい」とラブコールを展開。メジャー挑戦の夢にも「いいんじゃない」。球団挙げてのメジャー容認方針で清宮のハートをつかむ。