西武・菊池雄星「今オフ、メジャー100億円」1年前倒し移籍の声

2017年09月21日 11時00分

菊池雄星

 西武・菊池雄星投手(26)に対するメジャー評価が急騰している。本来ならメジャー挑戦は来年オフの予定だったが、ここへきて「仮に今オフ、FA市場に出れば総額1億ドル(約111億5000万円)の契約が取れる可能性がある」と断言するメジャー関係者も出ているほど。それにはどんな背景があるのか。「1年前倒し」はあるのか。今オフの動向が注目されている。

 今季の菊池は19日現在、15勝(6敗)はソフトバンク・東浜(16勝)に次ぐリーグ2位で、防御率(2・07)、奪三振数(201)はリーグトップ。十分、投手3冠を狙える位置につけている。8月3日の楽天戦(メットライフ)では日本人左腕最速の158キロもマークした。2段モーション問題もありながら、シーズン中のフォームの修正にもうまく対応しており、プロ7年目で大器がいよいよ覚醒した感がある。

 菊池は「1年間投げ切りたい。CSもあるし負けられない。その中で勝つことが大事」と今後の戦いに向けて気合を入れているが、そんな日本球界を代表する左腕に関しては、メジャースカウトからも絶賛の声があふれている。

「右打者のインコースに食い込むストレートは破壊的。さらにハードスライダーは往年のランディ・ジョンソンを思い出す。今年のNPBでは圧倒的なナンバーワンスターター(先発投手)」(ナ・リーグ球団スカウト)と来オフにも控える争奪戦に着々と調査を進めている。

 その一方で「菊池がもしこのオフ、移籍市場に出れば、ユウ・ダルビッシュ(ドジャース)に次ぐスターターの目玉になれる可能性がある。状況的に大物FA選手が乱立する来オフより今年の方が菊池にとっては情勢は有利に働くだろう」と話すメジャー関係者は多い。

 今オフのメジャー移籍市場では、ヤンキース・田中がオプトアウト権を行使してFAにならなければ、大物先発投手はドジャースのダルビッシュ程度。加えて本来の市場価値は2億ドル(約222億円)ともいわれる大谷が昨年12月に締結された新労使協定により、格安で獲得できるということで、メジャー各球団は色めき立っている。13日のAP通信によれば契約金は最高で353万ドル(約3億9400万円=入札金別、FAまで6年間拘束)だ(注)。

 しかし、これが当初の予定通り1年待っての2018年オフとなると、メジャー移籍市場最大の目玉となる過去3度のサイ・ヤング賞左腕、ドジャースのクレイトン・カーショー(29)が現契約を破棄してFAを選択する可能性が高く、他にも15年のア・リーグ、サイ・ヤング左腕、アストロズのダラス・カイケル(29)、レッドソックスのデビッド・プライス(32=12年ア・リーグ、サイ・ヤング賞)の左腕ビッグ3がFA市場に出る。右腕でもジャスティン・バーランダー(アストロズ=34)、フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ=31)と2人のサイ・ヤング投手がFAになる可能性があり、菊池の優先順位は一気に低下すると予想されている。

 そんな事情からあるメジャー関係者は「もし今オフ、菊池が市場に出るのなら争奪戦は大谷同様に過熱するだろう。彼の獲得に1億ドル(約111億5000万円)を払う球団も出てくるはず。また西武球団は(今オフ)新旧どちらの(ポスティング)制度でも最大の2000万ドル(約22億3000万円)を受け取ることができるだろう」と断言。現在、MLBと折衝中のNPB側が提案する新ポスティング制度「年俸総額1億ドル以上の契約の場合には譲渡金2000万ドル」を引き合いに出し、今オフ移籍のメリットを指摘した。

 しかし、15年オフに初めてポスティング移籍希望を伝えた菊池に対し、球団側は「3年間一定の成績を収めてチームを優勝させたら」という西武の“内規”にのっとって最短で来オフ、18年の移籍を容認する姿勢を打ち出している。

 果たしてメジャー側の高評価を意識した菊池側が今オフ、何らかのアクションを起こしてくるのか。西武にとっては簡単に容認はできない案件だが「急転要求」の可能性はゼロではない。

(注)海外FA資格を満たしていない23歳の大谷は大リーグでは25歳未満のドラフト対象外の外国人選手扱いで、契約金は昨オフに成立した新労使協定により、原則的に上限が575万ドル(約6億4110万円)に制限される。13日のAP通信によると、ドジャース、カブスなど12球団はすでに他の外国人との契約金で労使協定が定める上限を超えているため、30万ドル(約3345万円)より多い契約金を提示できない。100万ドル(1億1500万円)以上使えるのは8球団にすぎず、最高はレンジャーズの353万5000ドル(約3億9400万円)。次いでヤンキースの325万ドル(約3億6240万円)となっている。年俸もマイナー契約しか結べないため、来季はメジャー最低保障の54万5000ドル(約6080万円)で、FAになるのは2023年のシーズン終了後だ。