【ニューヨーク15日(日本時間16日)発】ヤンキースの田中将大投手(28)は前日、本拠地で行われたアストロズとのダブルヘッダー2試合目に先発し、今季最短の1回2/3でKO。メジャー初の満塁被弾を含む4本塁打を浴びて自己ワーストの8失点で2敗目(5勝)を喫した。試合前に行われたデレク・ジーター氏(42)の背番号2を永久欠番とする式典のお祝いムードをぶち壊した右腕をニューヨークの地元メディアは容赦なくバッシングした。

 初回、先頭打者のスプリンガーにフルカウントから8球目のスライダーを中越えに本塁打され、2番のレディックには初球の速球を右翼席へ運ばれた。一死を奪ったものの連打と二死後の死球で満塁。迎えた8番打者のブレグマンに初球のスプリットを左中間へ自身メジャー初となる満塁弾を打ち込まれた。

 2回はまたも先頭のスプリンガーにツーシームを右翼席へ。二死後に四球を与え、ベルトランに右中間フェンス直撃の適時二塁打を許して8点目を失ったところでジラルディ監督は交代を決断。右腕は大ブーイングを浴びてマウンドを降りた。

 残念な記録ずくめのKO劇だ。被本塁打4、1回2/3での降板はともに自己ワーストタイ。8失点、自責点8は日米通じてワーストだ。また、昨年6月24日のツインズ戦から続けてきたヤンキー・スタジアムで11戦負けなしの9連勝も途絶えた。

 田中は「振り返るも何も、あれだけやられたらただ単に自分の力が相手よりもなかったということですね。深刻な悪さではなかったんで、だからこそ相手に完全に上回られたというだけです。何か合っちゃうんでしょうね」とお手上げの様子。大ブーイングについては「初めてじゃないだろうし、それはそれで自分がそういう投球をしてるから当然だし、しようがないですよ」と受け止めた。

 一夜明けたニューヨークのタブロイド各紙とも1面と最終面だけでなく、中面でもニューヨークのヒーロー、ジーター氏の永久欠番式典を数ページをさいて大々的に報道。一方、大炎上した田中はバッサリだ。

 ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙は「田中、ブー(イング)の洗礼」と見出しを付けて「ヤンキースの先発投手はベスト・チームにより酔わされた」と大乱調を酷評。「1億5000万ドルの右腕は今季8試合で45回を投げ、53安打10本塁打を喫して防御率は5・80だ」と嘆いた。チーム勝ち頭の5勝を挙げている事実を“無視”した。

 ニューヨーク・ポスト紙は、最終面の右下に田中のぼうぜんとした表情の写真を掲載して「不安の始まり」と伝え、「(ダブルヘッダー1試合目の)逆転勝ちと華やかな式典のあとで満員の観客から気持ちの良い雰囲気を消し去った」と斬り捨てた。ニューズデー紙は「アストロズが第2試合の初回に3本塁打6得点で田中を叩きのめした」。

 ネットメディア大手のNJドットコムは「田中の悪夢は続いている。打線の援護で5勝2敗も防御率は5・80。完封したボストン戦を除くと7・25だ」とエース失格といわんばかりの論調だ。ニューヨークメディアに指摘されなくても最もふがいない思いをしているのは田中。悔しさを晴らすのはマウンドしかない。