【オハイオ州シンシナティ9日(日本時間10日)発】ヤンキースの田中将大投手(28)は8日(同9日)の敵地レッズ戦に先発し、7回を10安打4失点(自責点3)で両リーグトップに並ぶ5勝目(1敗)を挙げた。ピンチで3つの併殺打を打たせるなど今季最多の112球の熱投。一夜明けたニューヨークの地元メディアはチームを6連勝に導き、自身も5連勝としたエースを激賞した。

 田中に期待されたのは勝つことだけではなく、エースの役割だ。7日(同8日)のカブス戦は延長18回の死闘を制したが、救援陣を6人起用。救援陣の連投を避けるためには最低でも7回を投げることが求められた。

 3点の援護を背に上がった初回のマウンド。いきなり3連打を浴びた。先頭ハミルトンに左前打、続くコザートに右前打で無死一、三塁とされると、主砲ボットに右前適時打を許した。なおも無死一、二塁のピンチだったが、後続は中飛と三ゴロ併殺打で最少失点で切り抜けた。

 4―1の4回は失策と連打で無死満塁の大ピンチを迎えるも、二飛と遊ゴロ併殺打で無失点で切り抜けて2度、雄たけびを上げた。7回は二死を取ったものの、コザートに四球を与えた直後、ボットに初球スプリットを右翼席へ叩きこまれた。最後は4番デュバルを空振り三振に仕留め、8回の打席で代打を送られて退いた。この日の最速は151キロだった。

 田中は「最後のホームランは本当に余計。それまでは、しっかり粘って投げられたのは良かった。まあまあ4失点という結果よりは、内容はあったんじゃないかなと思います」と振り返った。

 ニューヨーク・ポスト紙は「田中はレッズ打線を試合終盤までナビゲートし、しっかり7回まで投げ切って勝利を得た」と報じると同時に「田中だけではなく投手陣全体が褒賞に値する」とたたえた。デーリー・ニューズ紙は「田中は何度もピンチを迎えながら粘り続けた」と伝え、4回無死満塁を無失点で切り抜けた投球を「プレー・オブ・ザ・ゲーム」に選定した。

 一方、ニューヨーク・タイムズ紙は、田中が先発に備えて、延長18回となった試合の開始前に現地を離れて当地に先乗りしていたことを「チームメートがホテルに到着して朝日が昇るころ、田中は眠りに落ちていた」と紹介。「よく休養を取った田中が寝不足のヤンキースを救った」とねぎらった。

 ニューズデー紙は「シンシナティに前日に入り、延長18回にヤンキースが決勝点を奪った直後に熟睡した田中が、救援陣が手薄となったチームが最も必要としていた仕事を全うした」と大絶賛だ。ヤンキース戦を中継するラジオ局WFAN(電子版)はAP通信の記事を掲載。「ヤンキースで最も休養を取っていた田中が7回112球を投げ、チームが求めていたことをやり遂げた」と力投をたたえた。

 田中はこの日、グラウンドに姿を見せなかった。次回登板は14日(同15日)のアストロズ戦。自身6連勝を狙うマウンドでは青木宣親外野手(35)と対戦する可能性もあり楽しみだ。