【マサチューセッツ州ボストン24日(日本時間25日)発】ヤンキースの田中将大投手(28)は前日のパイレーツ戦後、チャーター便でボストンに移動。この日は試合がなくチームはオフだったが、田中は3勝目をかけた26日(同27日)のレッドソックス戦に備え、静養にあてた。

 登板ごとに本来の姿を取り戻している右腕が開幕当初、思うようにいかなかったのが、その日の投球フォームを決める作業だった。試合に臨む上で、まず大事にしているのが「先発投手の永遠のテーマ」とする立ち上がり。その立ち上がりで神経をとがらせ行っているのが、その日の状態に最も適した投球を見つけること。これが試合開始早々から見つけられれば投球もスムーズにいくが、今季はこの折り合いがなかなかつかなかった。

 マウンド上でのコンディションから、最もボールをコントロールできる投球フォームを探し当て、さらに手応えのある球種を見つけて、対戦していくうえでの「軸」にする――こうした複数の要素をピタリと合致させる作業を、田中は一球一球ボールを投げながら行っている。

 その作業は、ラジオの周波数を合わせるようなものなのか。田中は「まあ、周波数…ですかねぇ」と苦笑いすると、こう続けた。「その日の状態はあるし、その中でもやっていくしかない状況で、相手打線に対して何が有効なのか。どのボールが自分のなかで、まだ『軸』として投げられるだろうかとか、当日の、その日の自分の状態も含め、全部考えて投げていく」。言葉からもわかるように、すべてがイメージ通りに進むことなどほとんどない。ベストを求めつつも、その日、与えられた最善のもので勝負していく。

 26日の相手先発はメジャー屈指の左腕セール。高レベルな投げ合いを期待したいところだ。