第89回選抜高校野球大会第5日の24日、第2試合で早実(東京)に4―5で敗れた明徳義塾(高知)。甲子園通算48勝の馬淵監督も思わぬ逆転負けに天を仰いだ。1点リードの9回二死一塁でエース・北本(3年)の正面へ飛んだ投ゴロには指揮官も「終わった」と勝利を確信した。だが、まさかのエラー。そこから連続四球で追いつかれ、延長10回に勝ち越された。「同点となったところでこの試合は終わり。高校野球は負けるたびにいろんな経験をさせてくれる」と苦笑いを浮かべた。

 恐れていたことが土壇場で現実となった。試合前、北本は「緊張するタイプで重圧に弱い。球場全体が早実を応援する雰囲気になったら…怖い」と吐露していたが、9回はボールが外れるたびに「歓声が上がって、のまれてしまった…」という。

 かつて星稜・松井(元ヤンキース)に対して5打席連続敬遠を指示した馬淵監督とあって注目を集めた対清宮は4打数1安打1四球に抑えた。明徳バッテリーは、チームメートの西浦(3年)を介して、昨秋の東京大会決勝で清宮を5打席連続三振に封じた日大三の正捕手・津原(3年)から攻略法を指南されていた。加えて馬淵監督の「徹底的なアウトロー攻め」を実践。指揮官が清宮に対する敬遠を命じるまでもなく“退治”した。だが、勝利はつかめなかった。

 希代の大砲との勝負を振り返った馬淵監督は「抑えたと言っても、あの振りはさすがやね。(第2打席の滞空時間の長い)センターフライなんか、最近見たことないような(打球の)上がり方だった」と素直な言葉で実力を認めた。そして「清宮を中心に早実は何か“持っている”よね」とつぶやいた。