元局アナ 青池奈津子「メジャーオフ通信」

【アーチー・ブラッドリー投手(ダイヤモンドバックス)】「大人が必要なものは全て整っていて、それでいて子供のころに欲しかったものも全部揃っている」。それがダイヤモンドバックスのアーチー・ブラッドリーが1年半前からオーナーになったスコッツデールに構える家である。

「おしゃれなリビングルーム(でも、見せ物メーンであまり使わない)、19台のテレビ、ビリヤード台、卓球台、エアホッケー台、ポップコーンマシン、プール付きの裏庭、バスケットコート、もちろんトレーニングバイクやウエート道具も揃っていて、最高の家」と元来フレンドリーな性格で周りをハッピーな雰囲気に包む彼だが、自宅の話を始めた時の相好の崩れ方といったらない。

「ああ、そうなんだ。僕の家は僕のプライド&ジョイ、自慢なんだ」。初めておもちゃを手に入れた少年のように誇らしげな笑顔。しかし、家がいかに完全装備でも彼らがいなくては完成しない。「このオフは三塁手のジェーク・ラム、二塁手フィル・ゴスリン、ピッチャーのドミニク・リオーネ、地元からの友人で現ブルワーズ傘下の選手の5人暮らし。4ベッドルームにもう1部屋、男のプレールーム的なテレビ3台に大きなベッドカウチの置いてある部屋があるんだけど、シーズン中は、リハビリ中や3Aのやつらも泊まりに来たりと、7~8人が住んでいる時もあった。家に関しては以前から、どんな家でどんなふうに住みたいってビジョンを持っていたけど、一緒に住んでくれているやつらとの楽しい時間や思い出があるからこそ、理想的な家になったよ」

 アーチーの家はちょっと楽しい、いや、だいぶ楽しい野球選手の民宿のような家なのだ。これは給料の少ないマイナーリーグの選手や、ケガやリハビリなどで住まいが安定しない野球選手らにとっては本当にありがたい環境である。

 そして、みんなにとって過ごしやすい環境づくりが自分の趣味であり、生きがいだと話すハウスオーナー。「両親の影響かな。子供のころからうちには友達がたくさん来ては、お泊まり会やパーティーを開いていたから。人といるのが好きで、喜びや楽しい時間を大好きな人たちと共有するのが何より好き。だからね、こうやって家を持ち、大リーグでプレーするという夢をかなえながら、同志であり親友であるやつらと一緒に暮らし、共に楽しい時間を過ごせるなんて、最高ですごいことだと思っているんだ」

 アーチーにとって最も理想的な時間は、休日の朝にゆっくり起きておいしい朝食を食べ、チームメートら8~10人を呼んでプールでバレーボールをしたり、グリルでバーベキューをしたり、野球や球場から離れても一緒に楽しく過ごす時間。このオフは400万円近くかけて裏庭のキッチンやグリルスペースを改装。そこで腕を振るうのも、だいたいアーチーだ。「ステーキにベークドポテトにシュリンプ! 結構、自信があるよ」

 つかの間のオフシーズン。十分に羽を伸ばし、また来シーズン、心弾むプレーを見せてほしい。

 ☆アーチー・ブラッドリー オクラホマ州マスコビー出身。1992年8月10日生まれ。24歳。193センチ、104キロ。右投げ右打ち。投手。2011年のドラフトで1巡目に指名されたダイヤモンドバックスに入団。14年まではマイナーで実績を積み、開幕をメジャーで迎えた15年4月11日のドジャース戦で先発としてメジャーデビュー。いきなりサイ・ヤング賞投手のクレイトン・カーショーに投げ勝ち、脚光を浴びる。今季は26試合に登板して8勝9敗、防御率5・02。