黒田に東北から早くも“復帰要望”

2016年11月06日 07時30分

ユニホーム姿で引退会見した黒田は終始、笑顔だった

 今季限りで現役を引退した広島・黒田博樹投手(41)が4日、マツダスタジアムで会見を行い「カープに入ってなかったらこれだけの野球人生は送れなかった。カープでよかったとつくづく思う」と日米通算20年に及んだ野球人生を振り返った。当面は野球から離れた生活を送るというが、黒田と親交のある人物からは早くも“復帰要望”が。その内容と裏にある「男気秘話」とは――。

 

会見に臨んだ男気右腕は穏やかな表情だった。「今は、朝起きて体が痛くても別にいいんだと思える。その『別にいいんだ』が自分の中で気持ちいい」。勝負の世界から解き放たれた自由を満喫しているようだ。舌も滑らかで「この後に(新井が)FA宣言の会見をすると言っていたので、そちら側(報道陣)から聞きたい」と冗談まで飛ばした。

 

 今後は「いったん野球から離れてゆっくりしたい」。

 

 偽らざる本音なのだろうが「せっかく日本と米国で20年間もプレーさせてもらったんで、いろんな人に還元できればと思う」とも話す。将来再び赤いユニホーム姿を見たいファンも多いだろうが「現時点ではそこまでは考えられない」と言葉を濁す。復帰に尽力した鈴木球団本部長も「今後の話はしていない。米国に渡ったときと同じで、もしそういう心境になれば戻ってきてくれればいい。ユニホーム姿でも、ただ遊びに来るのでも構わない」と“親心”をにじませた。

 

 そんななか「少年野球教室の指導者として復帰してほしい」と熱烈オファーを出すのが、黒田と親交があり、広島市内でスポーツグッズショップ「セレクション」を営む山田一雄代表だ。

 

 山田氏は、黒田がヤンキース時代に知人の紹介で知り合った。その際、東日本大震災で被害に遭った宮城県気仙沼市を支援していた関係から「子供たちにあげたいのでサインボールが欲しい」と直訴。二つ返事で何十個ものボールにサインをくれたという。

 

「サインボールを受け取った子供たちは大いに勇気づけられた。そして日本でのプレーをテレビで見て、さらに元気をもらっている」という山田氏は「特に印象に残っているのは、東北の状況について話すうち黒田さんが『東北の被災地に行きたい』としきりに訴えていたこと」と振り返る。

 

 そして2014年10月。広島市で起きた土砂災害で、黒田はプライベートで被災地を訪問している。

 

「あれだけ言っていたので、実際に行動に移したのはすぐに理解できた。もともとカープに帰ってきたのも年俸などではなく恩義の部分が大きいと思う。いつも恩で行動する熱い男ですよ」(山田氏)

 

 今季、黒田は日米通算200勝を達成し、名球会入りした。その名球会は定期的に東北の被災地を訪れ、講演や野球教室など支援活動を行っている。

 山田氏は「黒田さんも近い将来、野球教室などで東北を支援してくれるのではないか。そうすればさらにみんなが励まされると思う」と熱望している。

 

 黒田が“帰ってくる日”はそう遠くないかもしれない。