センバツ当確 早実・清宮にのしかかる重圧問題

2016年11月05日 07時30分

5打数5三振と大ブレーキだった清宮

 怪物スラッガーが聖地に帰ってくる――。高校野球の秋季東京都大会は3日、神宮球場で決勝が行われ、早実が8―6で日大三に劇的な逆転サヨナラ勝ち。11年ぶり10度目の優勝で、来春のセンバツ出場を確実にした。「3番・一塁」でスタメン出場した早実の清宮幸太郎内野手(2年)は、日大三の左腕・桜井周斗投手(2年)にまさかの5打席連続三振。周囲に助けられて何とか優勝を飾ったものの、主将としての重圧が想像以上にのしかかっている。

 

 絶不調の怪物を仲間が救った。1―1の4回、早実は下位打線が奮起して4安打を集中し、3点を勝ち越し。直後の5回、日大三の大型スラッガー・金成麗生内野手(かなり・れお=2年)に右中間席へ同点3ランを叩き込まれた。9回には二死一、二塁から再び金成に勝ち越しの2点二塁打を浴びた。しかし早実ナインは諦めない。

 

 9回裏の攻撃で1点を返し、なおも無死一、三塁のチャンスにここまで4打席連続三振の清宮が打席に立つ。暴投で同点に追いつくと、怪物スラッガーはサヨナラのチャンスに5つ目の三振を喫したが、1年生で4番を託されている野村大樹内野手が高校通算21号となる2ランを放って激闘にピリオドを打った。

 

 5打席連続三振は記憶にない。しかし、清宮は主将としてインタビューを受けた。「こんなに三振したのはたぶん初めて。本当に周りに助けられたなという感じです。誰かが失敗しても誰かが助けてくれる、そういうチーム。総合力のあるいいチームだと思います」。大声の出し過ぎで声はかすれ、目も腫れていた。それでも清宮はしっかりした口調で話した。

 

 早実の秋制覇は斎藤佑樹(現日本ハム)を擁した2005年以来、11年ぶり。チームメートの奮起もあり、清宮にとっては1年夏以来となる甲子園出場を確実にした。ただ、怪物スラッガーの不振ぶりにはネット裏から「主将の負担が重過ぎるのでは」との声が上がっている。

 

 早実OBは「清宮の存在がプレッシャーになって、他(の選手)が打ててるというのはあると思うけど、当の本人があの結果では示しがつかないというかバツが悪いでしょう。今大会にかけてるといっても、キャプテンを務めて打てないのでは本末転倒」と一刀両断。「ただでさえ取材の負担が大きい。たとえばキャプテンを2人置いてみるとか、清宮一人に責任が集中しないようにしてみるべきじゃないか」との意見もある。

 

 とはいえ、清宮がキャプテンの座から退くようなことがあるのか?

 

 早実に近い関係者は「早実のキャプテンは基本的に一番(野球が)うまい子が務めることになっている。今まで途中で代わったこともあったけど、それは留年したり、そもそも性格が向いてなかった場合。打撃を生かすために退いたケースもあるにはあるけど…。仮に清宮からキャプテンを剥奪して、なぜ代わったと必ず追及される。あえてそんな面倒事は起こしたくないというのが、和泉監督の内心でしょう」と実情を語る。ただ、高校野球では主将兼任の主力選手の負担軽減を理由にした主将交代劇は、駒大苫小牧の田中将大(現ヤンキース)が経験しているなど珍しいことではなく、東京代表として出場する11日開幕の明治神宮大会でも清宮の不振が続けば、主将交代の声はさらに強まりそうだ。

 

 清宮は5打席連続三振を「ちょっと調子が悪くて。余裕がなくなってて、ボールが見えてない。体が前に突っ込んでるので、今日の映像は繰り返し見たい」と振り返ったが…。明治神宮大会で底力を見せるしかない。