【マサチューセッツ州ボストン16日(日本時間17日)発】ヤンキース・田中将大投手(27)は登板翌日とあって、ノースロー調整で終えた。グラウンドでは前日の試合でメジャー通算300試合登板を達成した田沢純一投手(30)が、自ら田中に駆け寄りあいさつを交わす場面もあった。

 前日のレッドソックス戦では7回1失点、4点のリードを保ったまま降板したものの、試合は5―7でサヨナラ負け。自身の防御率は2・97と上がりア・リーグトップとなったが、地区優勝争いは厳しい状況となった。

 もちろんチームの敗戦は悔しいが、試合後、田中は意外な場面で負けん気の強さをのぞかせていた。それは突如崩れ1点を失った、3回の場面を振り返ったときだ。普段は淡々と語る田中の表情が突然曇ると、こう切り出した。「なんか、分析して、反省点として言うと…こういうとなんか、言い訳しているように聞こえてしまうんですよね。『言い訳』と『分析』って似たようなもんじゃないですか…」

 軽く顔をかきむしるようなしぐさを見せ「んじゃ、しっかり分析したうえでのことをいうと」と仕切り直したところで明かしたのが、自軍の攻撃時間の長さで投球リズムを崩してしまったことだった。「その前のイニング長かったことで難しさはありました。自分はずーっとベンチにいるわけじゃないですか。序盤、1、2回も長かったですし、3回もさらに長くなったんで」

 味方が得点を重ねることで時間がかかるのは必然であり、投手にとってはありがたいことだ。しかし、皮肉にも攻撃が長くなることで、自身のコンディションや投球リズムに乱れが生じることもある。それがキッカケでズルズル打ち込まれるパターンもあるなかで、わずか1イニング、最少失点で立て直したのはさすがだが、それを決してよしとしないのが田中の“自分への厳しさ”だ。

 次回登板予定は21日(同22日)のレイズ戦。ここで6回1/3以上投げれば、目標だった200イニングを達成する。あくなき向上心を絶やすことなく、田中の3年目シーズンは大詰めを迎える。