【コロラド州デンバー7日(日本時間8日)発】マーリンズのイチロー外野手(42)が史上30人目のメジャー通算3000安打を達成した。あと1本で迎えたロッキーズ戦に6番・中堅で先発し、7回に右翼フェンスを直撃する三塁打を放った。2001年4月2日のメジャーデビュー戦で初安打を放った安打製造機が2452試合、1万332打席目で偉業に到達。クールな男の涙腺が崩壊するシーンもあった。

 感動の瞬間は7回に訪れた。2番手の左腕ラスンがカウント2―0から投じた138キロのカットボールを豪快に振り切ると打球は右翼後方へ。クアーズ・フィールドのファンは全員立ち上がって大歓声だ。右翼パーラがフェンス手前でジャンプ。一瞬、グラブに収まったかと思えたが、打球はフェンスに直撃。打球の行方を見届けたイチローは一気に二塁を回ると、余裕の表情で三塁ベースに到達した。ファンは地鳴りのようなスタンディングオベーションでたたえ、ロッキーズナインも惜しみない拍手を送った。

 三塁打での達成は1996年のポール・モリター以来、2人目だ。

 偉業に挑んでいた緊張が解けないのか硬い表情で三塁コーチと握手したイチローだったが、チームメートが駆け寄ると一転して笑顔。真っ先に駆け寄ったゴードンとハグ。その後チームメート、コーチらと一人ひとりハグし、最後にボンズ打撃コーチと固く抱き合った。イチローはヘルメットを何度も掲げ、スタンディングオベーションで祝福するファンとロッキーズナインに応えた。7番マシスの中前打でゆっくり生還すると、ベンチに下がるイチローに再びスタンディングオベーション。マッティングリー監督と熱いハグを交わし、ベンチに入った。

 これまで味わったことのないプレッシャーとの闘いだった。3000安打にあと2としてから11打席音なし。前日、8回に代打で12打席ぶりに安打を放って王手をかけたが、9回の2打席目は凡退。この日も空振り三振、投ゴロ、遊ゴロに打ち取られていた。ベンチに戻ったイチローがサングラス越しに流れる涙をぬぐった珍しいシーンが物語っている。

 本拠地のファンは8日(同9日)からのジャイアンツ3連戦での達成を期待していたかもしれないが、試合前に行われるセレモニーで感謝を伝える。50歳までプレーしたいと話しているイチロー。肉体的な衰えは全く感じない。3100、3200、3300…ここから何本積み上げていくのか楽しみだ。