【イチロー3000安打カウントダウン連載(5)】 マリナーズのイチロー外野手(42)は21日(日本時間22日)、敵地フィラデルフィアでのフィリーズ戦に1番・右翼で先発出場し、3回に遊撃内野安打、8回に右前打を放って今季18度目のマルチ安打をマーク。史上30人目のメジャー通算3000安打にあと4とした。連載5回目に登場するのは今季限りでの現役引退を表明しているレッドソックスの主砲デービッド・オルティス(40)だ。“先輩”イチローに何を思うのか。

 12日(同13日)にパドレスの本拠地ペトコ・パークで行われたオールスター戦に4番・DHで出場したオルティスは1打数無安打1四球で期待された本塁打を打つことはできなかったが、代走を送られてベンチに戻る際には万雷の拍手を浴びた。そんな素晴らしい瞬間にイチローが不在だったことを主砲は嘆いた。「彼は今年のオールスターに選出されるべきだったし、そこにいるべき存在だ」

 イチローは今季も4番目の外野手で、出場機会は限られている。それでもオルティスはイチローへの評価は変わらないと断言した。「まず、この(メジャー)ステージでプレーできることが特別。このことを忘れてはならない。そして、40歳を過ぎてもプレーすることはさらに特別なことなんだ。もちろん、彼には特別な技術がある。引っ張ったり、流したり、やりたい放題やっているように見えるあのバットコントロールだ。今も健在だろう? 多分、彼の実年齢は37歳だと思う」

 オルティスの目に焼きついている光景がある。「オレもあの場にいたからね」。2007年7月11日、ジャイアンツの本拠地AT&Tパークで行われた球宴でイチローは5回に右翼へランニング本塁打を放った。メジャー球宴史上初の快挙だった。「いやあ、クレージーだ。まさに彼にしかできないことだった」と振り返った。イチローは日本人選手初の球宴MVPに輝いた。

「彼は来季も、これからもプレーを続けていくだろう。だから来年のオールスターゲームに出場してほしい」。オルティスが抱くイチロー像が色あせることはなさそうだ。