「チビ」の何が悪い!気迫あふれるハートの持ち主

2016年06月12日 16時00分

 元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

 

【ジョシュ・ハリソン内野手(パイレーツ)】世界中の誰よりも大きなハートの持ち主。それがパイレーツのジョシュ・ハリソンである。

 

「だって生きてきてこの方、ずっと小柄だったからさ。自然とタフになるもんさ。標準より小さいって言いたくはないんだけど事実、僕はチビなんだ」

 

 よく通る低めの声で、こう語ったジョシュは球団の公式記録では身長が5・8フィート(約173センチ)となっているが、本人いわく5・7フィート(約170センチ)。メジャーリーガーになるまでの最大の壁はサイズだったという。

 

「チビだとさ、スポーツにおいては『あいつに何ができる』っていう目線で見られる。でも、その目線に抑えつけられることだけはしなかった。僕が知っている“形”で野球をし続けた。自分ができることをしっかりとコントロールする。それがここ(メジャーリーグ)へ来る鍵だったと思うよ」

 

 サイズはコントロールできないけれど、気持ちは自分でいかようにでもできる。7歳上の兄・ヴィンスと4歳上の兄・ショーン。その2人から受けた影響も大きい。彼らは180センチ以上あり、高校時代からプロのチームから声をかけられるほどスポーツ万能だった。

 

 一番上の兄・ヴィンスはマイナーリーグに10年在籍(現在はダイヤモンドバックスのマイナーチーム打撃コーチ)、叔父ジョン・シェルビーは元大リーガー(現ロッキーズのマイナーチーム打撃コーチ)という環境の中で育ったジョシュは「誰よりも年上ぶっていた」という。

 

「兄弟は仲が良くて面倒見の良い兄たちとは年の差もあったことからほとんどケンカはしなかったけど、唯一スポーツをしている時だけは一切手を抜いてくれなかったんだ。末っ子の特権で欲しいものがあれば、駄々をこねると大体兄たちが折れてくれたけど、点だけは取らせてくれなくて。だから『自分で取るしかない』って取っていくうちに自信をもらっていたよね」。私が「ある意味、末っ子の特権だね」と言うと「間違いない!」と笑った。

 

 そのジョシュが初めてバットを握ったのは3歳の時。ダイニングテーブルにあったフォークを使って、兄が投げる紙を丸めたボールを一生懸命打ち返したのが始まりだったそうだ。叔父のおかげで、ゲーリー・シェフィールド(ヤンキースなどでプレー=引退)やエイドリアン・ベルトレ(現レンジャーズ)などといった大物メジャーリーガーたちに会えたが「僕もいずれ野球選手になるからいいや」と思い、サインはねだらなかった。

 

「能力を持った人はたくさんいるけど、分かれ道はメンタル面だと思う。能力が高くても自信がないヤツは、才能が劣っていても自信満々なヤツほど活躍できないかもしれない。自信がなければ負け。ならば“タフであれ”」

 

 気迫あふれるジョシュのプレーからは、そのメッセージが伝わってくるようだ。

 

 ☆ジョシュ・ハリソン 1987年7月8日生まれ。28歳。米オハイオ州シンシナティ生まれ。173センチ、88キロ。右投げ右打ち。2008年のドラフトで指名されたカブスへ入団。09年にパイレーツへトレード移籍。11年5月31日のメッツ戦でメジャーデビューを果たす。14年には三塁を中心に左翼、中堅もこなすユーティリティープレーヤーとして143試合に出場。チームトップ及びリーグ2位の打率3割1分5厘をマークし、大ブレーク。同年は初の球宴出場も果たした。15年からパイレーツと新たに4年契約を結ぶ。「J―Hay(ジェイ・ヘイ)」の愛称で地元ファンから絶大な人気を誇る。

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