新生巨人のレギュラー争いが、いよいよ佳境に入ってきた。高橋由伸監督(40)の1年目となる今季は、若手の猛アピールもあってチーム内競争が激化。注目の開幕オーダーについて、指揮官はギリギリまで見極める考えを示している。ただ首脳陣間では、すでに大幅な刷新プランが練られている模様。今シーズンのスローガン通り、開幕戦のグラウンドに立つメンバーは「一新」される可能性が高まっている。

 約3週間のキャンプを振り返った由伸監督は、収穫として一軍に呼んだルーキー3人の名前を挙げた。なかでも実戦6試合で5割4分5厘と打ちまくったドラフト2位の重信慎之介外野手(22=早大)については「足がいいとは聞いていたけれど、思った以上に打撃もいい」と絶賛。キャンプ最後の実戦となった中日との練習試合では、試験的に試した1番・立岡、2番・重信の快足コンビが機能し、試合後の首脳陣からは「現状はこの並びがベストじゃないか」との声が上がった。

 重信のほかに、那覇では2年目の岡本が、攻守に成長をアピール。ロッテから移籍のクルーズも、いつ開幕しても大丈夫と思わせる軽快な動きを披露した。新助っ人のギャレット・ジョーンズ(34=前ヤンキース)はまだまだ調整段階だが、宮崎でのシート打撃で放った特大弾はインパクト絶大だった。

 一方、元気がないのがレギュラー当落線上にいるベテラン主力陣だ。村田は三塁の定位置を岡本や中井、クルーズと争う立場だが、実戦では目立った結果を残せなかった。打撃練習でまだ首をかしげる様子が見えるのも気になるところだ。同じく二塁をクルーズと争う片岡も、キャンプ終盤に背中の張りを訴え、首脳陣をガッカリさせた。

 気になる開幕オーダーについて、由伸監督は「そのうち決めるよ」と現時点では白紙を強調。選考のメドに関しては、村田ヘッドも「固まってくるのは、最後の6、7試合ぐらいちゃうか」と話している。それでも首脳陣間では、着々と具体的な構想が話し合われているようだ。

「一軍メンバーの絞り込みはこれからだけど、オーダーはなんとなく見えてきているみたいだよ。1、2番は立岡、重信。クリーンアップは坂本、ギャレット、長野だろうな。阿部、クルーズときて、三塁は岡本。これが順当だろうし、実際にこのぐらい入れ替われば、ファンも新チームになったんだなという実感が湧くよね」(チームスタッフ)

 確かにこの顔ぶれを昨季の開幕オーダーと比べると、残った野手メンバーは由伸監督がキーマンに指名した坂本、長野、阿部の3人だけ。まさに、今季のスローガン通りの“一新オーダー”となる。

 もちろん、開幕オーダーを決めるのは由伸監督の仕事。ただ、ヤングGがアピールを続け、ベテラン陣が元気のないままでは、衝撃的な新オーダーがどんどん現実味を帯びてくる。