ゴジラ塾開講だ。巨人の宮崎春季キャンプで臨時コーチを務めているチームOBの松井秀喜氏(41=ヤンキースGM特別アドバイザー)が2日、一軍野手陣を集めて打撃講座を開いた。バットを握って身ぶり手ぶりを交えながら約10分間の熱血指導。2日目になってコーチングが徐々に熱を帯びてきた同氏は、今キャンプで門下生の“入塾”を許可する考えがあることも明かした。果たして、その第1号とは――。
ゴジラの“青空教室”は、午後開始のフリー打撃前の約10分間。バットを手にした松井氏が打撃フォームの実演を見せながら、細かく打撃理論をアドバイスした。ヤンキース時代のチームメートだったアレックス・ロドリゲスやマニー・ラミレス(元レッドソックスなど)ら、実際に間近で見てきた大物メジャーリーガーの名前を模範例として挙げながら後輩たちを指導した。
「私の経験の中でバッティングで大事だと思うことや、今まで見てきたチームメートの中で素晴らしい打者に共通していた点などを伝えた」(松井氏)。内容に関しては「言えない」と口をつぐんだが、選手たちの話を総合すると、打撃の際の体重移動や軸足に関する助言だったという。
真剣に聞き入る選手たちの中で“マツイセンセイ”の一挙一動に通訳を介しながらひと際大きくうなずいたのが、新外国人選手のギャレット・ジョーンズ外野手(34=前ヤンキース)。その場ですぐにフォームチェックを繰り返すなど、ゴジラの金言にすっかり感銘を受けた様子だった。
ギャレットは目を輝かせながら「(松井は)好打者なので、そういう人から助言をいただけて良かった。(助言の内容は)基本的なことなので、忘れがちなことを思い起こさせてくれた」とコメント。来日直後にはメジャーで実績を残した偉大な先輩・松井氏への“弟子入り”を志願していた経緯もある。
そんな新助っ人の熱意を本紙から伝え聞いた松井氏も二つ返事で快諾した。「“弟子入り”という言葉は好きではないが…」と前置きしながらも「松井塾への入門は許可したい」と明言。ギャレットから相談を受ければ、いつでも「センセイ」になる用意があることを打ち明けた。
「パワーはあるし、メジャーリーグでの実績もあるわけだから、本人が(日本のプロ野球を)経験していく中で自分なりの対戦ができていけば、十分力を発揮してくれるんじゃないかと思う」というのが松井氏のギャレット評だ。
講座終了直後のフリー打撃でギャレットは初体験のカーブマシンにてこずったこともあって、柵越えは55スイング中3本にとどまった。それでも松井氏がお墨付きを与えたようにパワーと実績は一級品。新助っ人の能力を引き出すゴジラの手腕が注目される。