プロ野球のキャンプが1日、一斉にスタートした。高橋由伸新監督(40)率いる巨人はOBの松井秀喜氏(41=現ヤンキースGM特別アドバイザー)が先月31日、宮崎春季キャンプで臨時コーチを務めるため当地入り。キャンプイン前日のミーティングではナインにあいさつを兼ねた訓示も行い“指導者モード”にシフトチェンジした。盟友である新指揮官に全面協力を約束している松井氏だが、来年以降も引き続き宮崎キャンプに“半永久参加”する意欲を見せているという。

 一挙一動にオーラが漂っていた。31日の夕方に宮崎入りした松井氏は空港からチーム宿舎へ直行。ジャケット姿で前日ミーティングに参加し、一軍選手たちに「高橋監督とは5年間一緒にプレーしました。ジャイアンツでも2002年まで10年間プレーしました」とあいさつ。さらに続けた。

「ジャイアンツの置かれている立場は非常に厳しいものがあると僕も理解しております。去年は優勝を逃し、去年は特に打てなかったと聞いておりますので、僕は野手出身ですからこの2週間、宮崎キャンプの中で技術的な部分、精神的な部分、そしてピッチャーに対する対策など、いろいろと私の経験をみなさんに伝えていけたらいいなと思います。またバッテリーの方も、バッターは何が嫌なのかとかということがあれば、またお話しできればいいなと思っております」

 巨人、そしてヤンキースと日米の名門球団で数々の偉業を成し遂げたレジェンドOBの金言に、選手たちも一言一句を逃すまいと真剣な表情で耳を傾けた。

 ミーティングを終えた松井氏は白い歯をのぞかせながら「何もしゃべってないよ。『平成5年入団の松井秀喜です。よろしくお願いします』と言っただけ」とジョーク交じりにトボけていたが、実際はあいさつだけでなく、魂を込めた“訓示”によってこれから厳しいキャンプに臨む選手たちの心をしっかりと鼓舞させていた。

「3年連続で古巣・巨人のキャンプに参加することは楽しみか」と問われると「皆さんと監督、コーチと相談してから頑張ります。とりあえず明日やってみてからですね」と話すにとどめた。しかしながら内心では1日からスタートした宮崎キャンプで「自分ができる限りのことはやるつもり」と選手指導に全力を尽くすつもりでいる。すべては現役時代からの盟友・由伸監督のためであることは言うまでもない。

 その一方で松井氏は1つの意思も固めつつあるという。来季以降も宮崎キャンプに継続参加する考えがあることを指揮官に示唆しているというのだ。「松井さんは(由伸)監督に『もし必要があれば来年、そしてその先も(臨時コーチとして宮崎に)行くよ』と言ってくれていると聞いた。その言葉をもらって監督もすごく意気に感じているそうですしね。本当にありがたい限りです」(球団関係者)

 来季以降も継続されそうな雲行きとなってきたゴジラとヨシノブの“強力タッグ”。初合体となる今キャンプで、まずはどのようなプラス効果がチームに表れるのか。興味は尽きない。