【ロードアイランド州ポータケット27日(日本時間28日)発】右手首炎症と前腕の張りで故障者リスト(DL)入りしているヤンキースの田中将大投手(26)は傘下3Aスクラントンで、DL入り後2度目のリハビリ登板した。ポータケット戦に先発し、3回を投げ、1本塁打を含む4安打3失点、4三振2四球。内容だけ見れば不安が残るものの、速球のMAXは149キロ、スライダーのキレも戻った。登板後の田中は前向きだった。

 立ち上がりから制球に苦しんだ。初回先頭のブラッドリージュニアに初球フォーシームをとらえられ、右翼フェンス直撃の二塁打。続くベリーにもフォーシームを左前へ運ばれた。さらに3番・クレイグには四球を与え、無死満塁の大ピンチだ。田中はここで一呼吸置くと次打者の4番・ブレンツをスプリットで空振り三振に仕留めた。

 さあ、ここから――と行きたいところだったが、思わぬハプニングに見舞われた。5番・ショウに2球目を投じた直後、田中が球審にアピール。プレートよりやや前方、ちょうど田中が投球の際に左足を踏み込む辺りのマウンドの土が激しい“ひび割れ”を起こしたのだ。グラウンドキーパーがマウンドの修復作業を行い、試合は8分間中断した。田中も苦笑いを浮かべながら固まった土をリヤカーに入れる作業を手伝った。

「初めてですね、あんなふうになったのは。何か分からないですけれど割れましたね。その(アピールする)2球前に何か地面が動いて割れてたんですけれど…。リアクション取ったんですけど、周りが何も反応してくれなくて。“投げろ”ってことなのかなと思って…。でも次投げたらまたひどくなったんで…」

 それでも田中は気持ちを切らさなかった。試合再開後、一死満塁からショウの犠飛で先制点を許すも、次のモンツを134キロの外角スライダーで空振り三振。最少失点で切り抜けた。

「初回、特にあの無死満塁というところを1失点だけで切り抜けられたというところは、試合でやっていく中で非常に重要なことだと思います」

 2回は二死三塁から再びブラッドリージュニアに、2ストライクと追い込んでから3球目の146キロの内角ツーシームを痛打され、右中間スタンドへ叩き込まれた。不用意な一球だが登板後の田中はこの場面で試したことを明かした。

「ピッチングの中でひとつの流れがある中で、その前の(2球目の)球でカッターでストライクからボールになる球で空振りが取れていたんで、その残像が残っているかなと。ボールからストライクに入ってくるツーシームが投げられたらどうなのかなっていうのが、そこらへんはどうなのかなっていうのがあった」

「65球メド」という制約の中、2回まで苦しみながら50球。最後の3回は12球で三者凡退といい形で締めくくった。

「スライダーが前回よりは良かったかなというところと、あとは球数をしっかりと投げられたというところは良かった。僕自身は下でこうやって投げてるってことで上で投げても問題はないと思います。でも大事なのはやはり勝つっていうことだと思いますしね。そこらへんに関してはやはり首脳陣の方々が決めることだと思うので、しっかり話をして決まっていくことだと思います」

 6月2日(同3日)の敵地でのマリナーズ戦での復帰を描いている首脳陣はこの日の結果をどう捉えるか。注目だ。