【フロリダ州タンパ1日(日本時間2日)発】オープン戦最終登板となった前日のツインズ戦でヤンキースの田中将大投手(26)は制球に苦しみ、4回1/3を7安打3失点だった。しかし、「やることは、すべてやれた」と満足顔。ニューヨークの地元メディアは試合後こそ「健康で投げ終え、ひとまず安心」などと速報したものの、その後は辛口な論評を展開。シーズンでの活躍に疑問を投げかけた。
オープン戦最終登板から一夜明け、田中は午前10時過ぎにグラウンドに姿を現した。その後、投手陣の元にジラルディ監督が小走りに近づくと、自然と指揮官を囲むように円陣ができた。数分間の“訓示”。そのまま練習になった。田中は軽めのキャッチボールと投内連係に参加。およそ35分ほどでクラブハウスに引き揚げた。チームはホームでのデーゲームだったが、田中は正午前には球場を離れた。
その田中について、ニューヨークの地元メディアは、前日の試合終了直後こそ「オープン戦を健康で投げ終え、ひとまず安心」などと電子版で速報したが、時間の経過とともに辛口報道に変わった。
最も懸念している点は、速球のスピードダウン。米データサイトのファングラフスによると、田中が昨年投げた速球の球速は139キロから154キロで平均146・6キロ。しかし、今オープン戦では130キロ台が多い。これは田中が故障した右ヒジを考慮して力を抑えたことと、フォーシームの速球よりツーシームでボールを動かすことを重視しているからだ。しかし、ニューヨークメディアは昨年、体重を落として球速がダウンしたサバシアが不振に終わったことから、“同じことになるのでは”と見ている。
ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙(電子版)は「田中はキャンプで生き残っているが、ヤンキースのエースには、まだ疑問がくすぶる」と報じた。前日田中が投じた76球中144キロを超えたのは10球だけで、MAXは147キロだとし、あるスカウトの「142~144キロの速球では、今の野球では命取り。ツーシームであろうがフォーシームであろうが、その程度では簡単に打たれる」とのコメントを引用し、シーズンでの球速に注目した。
ニューズデー紙は「開幕前の最終登板は不安定」の見出しで「田中にとってキャンプでのゴールは生き残ることだったが、最後のチューンアップが心もとない内容だと、ヤンキースは昨年のような信頼を置けない」とバッサリ。球速についても「これまでよりフォーシームを多く投げたと田中は言ったが、スピードガンはジャンプアップを示さなかった」と危惧した。
また、米スポーツ専門局ESPN(電子版)は、メジャー通算219勝で今年野球殿堂入りしたペドロ・マルティネス氏が、衛星ラジオ局シリウスXMラジオのスポーツ番組で「田中が現在において完全に健康ではないと断言できる。ヤンキースが魔法でも使わない限り、彼が今季ずっと健康だとは思えない。ヤンキースは田中を(途中で)失うと思う」と語ったことを紹介している。
田中は6日(同7日)のブルージェイズとの開幕戦で、ニューヨークメディアの不安を吹き飛ばす快投を見せるしかない。