巨人が27日、DeNAとの開幕戦(東京ドーム)に3―2で勝利。終盤に1点差まで追い上げられたが、DeNAの猛追を振り切った。だが、舞台裏では熱戦を繰り広げたグラウンドとは別に、試合中継の解説のために来場したヤンキースGM特別アドバイザー・松井秀喜氏(40)にも注目が集中。ナゼか周囲がソワソワしていた理由を追ってみると…。

「開幕戦を1つ取ったというのは大きい。ヒーローというより、チーム力で取ったのが大きいと思う」。原監督がそう振り返ったように、試合は苦しい展開だった。

 亀井の2ランなどで2回までに3点をリードしたものの、その後は追加点を奪えない。それでも再三のピンチは堅守で切り抜け、9回からマウンドに立った新守護神・澤村は関根に被弾しながら、どうにか後続を断って初セーブをマークした。

 こうした古巣の戦いぶりを放送ブースで終始冷静に解説していたのが、日本テレビ系列の試合中継でゲスト解説者を務めた松井氏だ。7回一死満塁で石川の左飛を捕球した高橋由が本塁に返球し、タッチアップを狙ったバルディリスの生還を阻むと「今のは素晴らしいですね。若い時から(高橋由は返球が)正確でしたよ」。DeNAの主砲・筒香が5回に右翼席へ豪快なアーチを放った際には「(打ったのは)甘いスライダーでしたね。すごいですね。これで試合が面白くなりましたね」と絶賛。両軍の選手たちの動きをくまなくチェックし、言及していた。

 しかし、そんな松井氏に日本球界関係者たちが気もそぞろになっているのもまた事実。松井氏がゲスト解説をすること自体は珍しいことではないが、これまでとは立場が違う。今は「ヤ軍GM特別アドバイザー」という肩書がついているだけに「もしかして将来のメジャー移籍候補選手のチェックもしていたんじゃないか」とささやく声も聞こえた。

 確かにヤ軍は田中に次ぐ日本人メジャーリーガーの獲得を模索しており、松井氏にもヤ軍のキャッシュマンGMから「どういう選手がウチにフィットしそうか」とアドバイスを求められるケースは今後あるだろう。当然、松井氏はヤ軍GMの「アドバイザー」なのだからアドバイスしないわけにはいかない。そんなわけで、特に人気選手を抱える日本の球団にとって、松井氏は「脅威の存在」となるわけだ。

 この日、中継を終えた松井氏は帰り際に筒香の本塁打についてあらためて触れ「いいホームランだったね」とニヤリ。今後も松井氏の動向に、球団フロントが神経をとがらせる日々は続きそうだ。