【フロリダ州タンパ12日(日本時間13日)発】ヤンキースの田中将大投手(26)がブレーブスとのオープン戦に先発で初登板した。2回を“パーフェクト”。2三振を奪い安打性の打球すら許さなかった。伝家の宝刀スプリットに加え、新たな武器の左打者の内角ボールゾーンからストライクゾーンへ変化するフロントドアも試した。昨年痛めた右ヒジの不安を全く感じさせることのない完璧な投球。メジャーで自身初となる開幕投手に前進だ。

 キャンプ本拠地ジョージ・M・スタインブレナー・フィールドに背番号19が胸を張って立つと詰め掛けたファンは大歓声を送った。エースへの期待の表れだ。

 先頭打者A・シモンズへの初球は内角低めへのツーシーム。ギリギリのコースにバットはピクリとも動かない。2球目のスライダーで追い込むと最後はツーシームで遊ゴロに仕留めた。続く2番・カヤスポの初球は左打者の内角低めのツーシーム。新兵器のフロントドアをぼうぜんと見送った。2球目のツーシームで二ゴロ。力を入れていないがボールは伸び、キレている。

 3番・フリーマンへはカウント1―1から外角低めのスプリットで空振り。4球目のフォーシームはこの日のMAX150キロだったが、惜しくもボール。5球目のスプリットはバットに当てられたが、最後はスライダーで見逃し三振を奪った。わずか11球で初回を終えた。

 2回は4番・ゴームズをカウント1―2と追い込むと外角低めのスプリットで空振り三振。続くベタンコートは遊ゴロ。ジョンソンは三ゴロであっさり三者凡退。エースのすごみを感じさせる完璧な投球でヒット性の当たりすら許さなかった。計19球は想定を下回ったようで、そのままブルペンへ移動して18球投げた。ベンチで見守っていたジラルディ監督、ロスチャイルド投手コーチもひと安心だ。

 昨年はスプリット、今年はフロントドアが注目されている田中だが、1年間メジャーで戦ったことで、あらためて確信したことがある。それは「速球を主体とした本来の投球スタイル」だ。

 田中の武器であるスプリットやスライダーが生きるのは力強い速球があるからだ。しかし、メジャーではボールを動かしてバットの芯を外す投球が主流。

「(場合によって捕手のサインに)首を振る時もあるでしょうけど、そういう形で抑えられるとなれば、あると思いますよ」。楽天時代は「発展途上のボールだった」というカットボールも投げた。

 しかし、1年間の経験で、本来の投球スタイルへの自信を深めた。2年目の今、あらためて「ボールを動かすスタイルがメーンになっていくのか」と問うと、田中は「(捕手もいることなので)ハッキリ『どうだ』とは言わないですけど、そういうの(メーンになること)はない。基本はストレートですよ」と語った。速球を柱に配球を組み立て、イメージ通りに打ち取る。まさにこの日の投球ではないか。

 2年目の田中はメジャーでも絶対エースと呼ばれる存在になるだろう。開幕が待ち遠しい。本当に楽しみだ。

【田中のコメント】少ない球数で2イニングを抑えることができたので言うことはないです。緊張はもちろんしました。(今季の登板)1発目ですし。今年もこ ういう感じがいよいよ始まっていくなと。そういった中でスムーズに入って無事に終われたのでホッとしているというのが正直なところです。