【フロリダ州タンパ10日(日本時間11日)発】ヤンキースの田中将大投手(26)が、日米で物議を醸してきた“伝家の宝刀”について語った。最近は新しい勝負球「フロントドア」が注目されているが、やはり気になるのは米国で右肘靱帯部分断裂の原因と報じられてきたスプリットだ。ネット上で一時、噂になった疑問にも答えた。

 この日の田中はブルペン投球の翌日とあって軽めの調整。チームは遠征中のため、ガードナーやマッキャンなど主力野手の居残り組と合同でウオーミングアップを行うと、キャッチボールと軽いノックなどをこなし、グラウンドでの練習を終了した。

 12日(同13日)のブレーブス戦はオープン戦とはいえ、今年初めての実戦。田中も「正直、結果は別にいいです」と語ったように、今回は投球内容よりも、オフ中の治療やトレーニングが試合でどのくらいの耐性、効果をもたらすのか、本格的に取り入れたフロントドアの精度など、今季の方向性を探る登板になる。

 そこで気になるのは、米国で故障の原因といわれ続けてきたスプリットだ。田中は「(故障の原因は)球種どうこうではない」と語り、今キャンプのブルペンなどでもスプリットの投球制限などはかかっていないことを明かしている。しかし、興味深いのは昨年末、レンジャーズのダルビッシュ有投手(28)と出演したテレビ番組でのやりとりだった。ダルビッシュが「ヒジを痛めてからスプリット変えた? 握り」と唐突に聞いたのだ。

 ボールの“落下”が始まるポイントは同じでも、落下中の軌道が故障前と違うことを挙げ、映像を交えて質問。これに田中は笑みを浮かべながら「変えてないです、握りは。握りは」と意味深に答えた。インターネットでも、このやり取りが話題になった。

 単刀直入に聞いてみると田中は、またしても「どうかなあ…」とニヤリ。しかし、すぐさまこう返した。「あそこで、ああやって言ってみただけですよ」。わざと意味深な答え方をして、ちょっと“意地悪”をしただけのようだった。そして「(スプリットは)今までと全然変えてません。投げ方、握りも変えてないです」とキッパリ。軌道についても“たまたま”という見解だった。昨年、メジャーの強打者たちをして「ナスティー(えげつない)」と言わしめたあの魔球が、今季も変わらぬ姿で襲いかかる。

 果たしてオープン戦初登板では、どんな投球を披露してくれるのか。フロントドアだけではなく、スプリットも注目だ。