【フロリダ州タンパ9日(日本時間10日)発】ヤンキースの田中将大投手(26)は、オープン戦初登板となる12日(同13日)のブレーブス戦に備え、ブルペンで31球を投じた。故障した右ヒジの不安を感じさせることなく、順調にキャンプを送っている背番号19は、1年前とは“正反対”の意気込みを語り、あらためてメジャー2年目の余裕をのぞかせた。

「もう、そろそろブルペン投球で特に言うことはなくなってきました」

 オープン戦初登板を前にしたブルペンとはいえ、通常のルーティンにすぎない。練習後の田中はこう語って報道陣の笑いを誘った。

 メジャー2年目の余裕がハッキリと言葉に表れたということだ。昨年のほぼ同時期、オープン戦初登板を目前に控えた田中は、報道陣から「抑えにいくと同時に試したい部分もあるか」と問われると「(試すうんぬんより)まずは自分の投球スタイルをしっかり出すことを第一に考えて投げたい」と語った。

 しかし、今年は違う。「正直、結果は別にいいです。ちょっとやってみたいこともありますし、今しかできないとは思うので、やっておきたいなと思います」。内容は明かさなかったが、メジャーという壁にぶつかっていくだけだった1年目とは大違いだ。周囲の視線も昨年の期待一色から変わったことも感じ取っている。7日(同8日)、レンジャーズのダルビッシュが右ヒジの靱帯部分断裂していることが発表された。ニューヨークメディアの視線は再び田中の右ヒジへと集まっている。キャンプインから順調にもかかわらず、手術を回避したことを“ギャンブルだ”とも報じられた。

 ここまで打者を立たせた投球練習は2度。左打者の内角のボールゾーンからストライクゾーンに曲がるツーシーム、“フロントドア”を披露して進化を証明している。待っていた実戦のマウンドだが、田中は「ユニホームが違う相手に投げるので、今まで(練習)との違いも絶対出てくる。そこをいかにシーズンに向けての勘というか、感覚であったりを少しずつ高めていければ」と冷静に語った。

 ブレーブス戦後は中4日か中5日の調整が続く。米メディアからの不安の声を気にせずシーズンへ向け着実に歩み続ける。