【フロリダ州タンパ26日(日本時間27日)発】ヤンキースの田中将大投手(26)が今キャンプ2度目となるブルペン投球を行い、全球種を織り交ぜ40球を投げた。ボールの質、フォームのバランスなど順調ぶりをアピールしたが、対照的に慎重になっているのが首脳陣だ。「先発6人制」に向け頭を悩ませているという。

 2年目でも注目度は変わらない。午前9時から始まった田中のブルペンには日米で30人ほどの報道陣が集まった。故障した右ヒジの回復具合が気になるのだ。ジラルディ監督も田中のそばに付き、コンディションをうかがった。

 田中の動きは軽快だった。ゆったりとしたフォームからピュッと放たれたボールは、捕手の構えたミットに吸い込まれた。ノーワインドアップで17球。そしてセットポジションでの投球では力の入れ具合に変化を与えた。特に変化球の後の内外角の速球は、フォームに力感が加わった。本番ほどではないが、走者を背負い“ギア”を一段階上げて投げ込む「あの姿」を思わせた。フィニッシュまでのフォームの安定感も十分。22日(同23日)以来、中3日の投球で順調に段階を踏んでいることを示した。

 田中は「全体的にとてもよかった。タンパに来てから(自主トレの1回を含めてブルペンに)3回入りましたけど、1回目より2回目、2回目より3回目と順を追って良くはなってきている。もちろんうまくいかない日もありますけども、そういう点ではすごく順調なんじゃないかなと今、思います」と手応えを口にした。

 次回は打者を立たせた投球練習を行う予定。中3日なら3月2日(同3日)だ。「そのための、このブルペンで数回投げての準備なので、そこは打者が立っても一緒。それだけの準備ができたものだと思います」と胸を張った。

 ロスチャイルド投手コーチも「(ブルペンは)ボールもよかったし、腕の振りの速度もよかった。すべてがよかった」と満足げ。ここまでの調整方法については「(投球練習の間隔は)彼のやりやすいペースでやっているということ。すべてが前に進んでいる」とも語り、田中との話し合いで組んだプラン通りに進んでいることを明かした。

 一方で、首脳陣が頭を悩ませているのは今季導入が検討されている先発6人制だ。ロスチャイルド・コーチはこう明かした。

「スケジュールとローテーションを考えてシナリオを考える。中4、5日で先発陣がオープン戦を投げてみて、それに(体が)どういう反応をするか。それからどうするか決める。シーズン中には6人が必要になるときがある。4、5月には31日間で30試合があるから、いろんなシナリオを考えないといけない。マサヒロだけではなく、先発陣が最初の2か月をどう乗り切るか」

 首脳陣がポイントに挙げるのは4月17日(同18日)からの31日間で30試合の過密日程だ。田中をはじめ、右ヒザを手術したエース左腕・サバシアらにいかに負担をかけずに乗り切るかが焦点となっている。

 開幕へ向け順調な田中だが、まだまだ安心はできない――。それが首脳陣の本音のようだ。