エンゼルスの大谷翔平投手(27)は19日(日本時間20日)に敵地デトロイトでのタイガース戦に疲れも見せずに「1番・DH」で出場し、3打数2安打1打点も、期待された2試合連続の41号は不発だった。18日(同19日)に投打同時出場し、8回1失点で8勝目(1敗)を挙げ、メジャー最速で40号を放ち、1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利&2桁本塁打」に大きく前進した二刀流を全米メディアが絶賛。しかし、金字塔はこれだけではない。史上初の打者と投手の月間MVP受賞、さらには夢の60本塁打も視野に入れている――。 

 まさに「SHO TIME」だった。メジャー自己最長の8回無四球1失点で8勝目をマークし、打っては打球速度110・1マイル(約177キロ)の弾丸ライナーを430フィート(約131メートル)先の右翼席へ突き刺し、今季最速で40号に到達した。その快挙から一夜明けた19日の全米のメディアは大谷への賛辞であふれた。地元紙ロサンゼルス・タイムズは「今季大リーグにおける最も素晴らしい試合の1つとして記録されるだろう。もう1度言おう。『スペシャル』というものがある。大谷は別物だ」と強調した。

 FOXスポーツ(電子版)は「大谷翔平は、今季の大リーグを乗っ取った」、米大リーグ機構公式サイトは「二刀流スターはMVPらしい形でタイガースを驚かせた…。現実に思えない」と驚嘆した。

 米スポーツ専門局ESPN(電子版)は「大谷は、少なくとも15試合先発登板したシーズンで、初めて40本塁打した大リーガーとなった。これまでは29本塁打放った1919年のベーブ・ルースがトップだった」とたたえた。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は「大谷は新たなベーブ・ルースなのか、それともまったく新たな何者なのか?」と題した特集記事を掲載。ルースは投打ともにフル回転したシーズンはないが、今季の大谷はDHながら投打でほぼフル出場していると指摘。大谷とルースの比較は単純にはできないとしながらも、どちらも偉大で稀有な選手だと結論付けた。

 区切りの一発で本塁打王争いでは2位のブルージェイズのゲレロに5本差として独走状態、88打点はトップのホワイトソックスのアブレイユ、レッドソックスのディバースに1点差と2冠が十分狙える。しかし、大谷に今後期待される偉業はまだある。タイガース相手の白星で今月3勝目はトップタイで、防御率1・80は20回以上投げた投手では1位だ。大谷が今月、マウンドに上がるのは日程的に残り1回で、そこで4勝目を挙げて6回無失点なら防御率1・38。そうなれば、投手部門での月間MVP獲得の可能性が出てくる。6、7月は打者で獲得しており、打者と投手の両方となればもちろん史上初だ。

 さらに、どこまでアーチを積みかさねるのか注目される。エンゼルスは残り39試合。70号はさすがに現実的ではないが、6月15日(日本時間16日)から7月9日(同10日)までの21試合で16発と驚異的なペースで放っており、現在のシーズン約53本ペースを上回り、60号、さらにはロジャー・マリスが61年にマークしたア・リーグ記録61号の更新は十分射程圏内だ。

 歴史的なシーズンを送っている大谷。どこまで想像を超えてくれるのか。期待しかない。