ヤンキース・田中将大投手(26)が「アイドルヲタ(オタク)」たちの批判の声に、真っ向から猛反論した。AKB48をきっかけに「アイドル好き」を公言して以来、ももいろクローバーZ、モーニング娘。’14と、田中の好きなアイドルは、もはやグループの枠を超えている。ゲスト出演した先日のNHK紅白歌合戦でも目尻を下げてアイドルたちを応援していたが、ネットなどでは、その「DD(誰でも大好き、の略)」ぶりに「節操がない」などと批判の声も少なくない。そんな声に対し、田中が展開した「アイドル論」とは――。

 田中は「アイドル好きアスリート」のパイオニアと言っても過言ではない。初めてAKB48のファンであることを本紙に明かしたのが2010年。以来、アイドルへのリスペクトと情熱を本紙を通して訴えてきた。

 その後、田中につられるように“アイドルファン”を公言するアスリートが増加したが、田中の思いは、すでに“博愛主義者”のレベルに達している。ある特定のグループだけ応援しているわけではない。

 だが、そんな幅の広さに「アイドルヲタ」たちの視線は冷ややかだ。グループの枠を超えた田中のようなスタイルは「DD」と呼ばれ「一貫性がない」「節操がない」という見方をされることが多い。最近では田中のこうした“活動”が報道されるたび「なんでもありだな」「変わり身が早い」などの声が上がり、中には昨年限りでロッテを引退したG・G・佐藤氏に引っ掛けて「D・D田中」の別称まで付けられてしまうほどだ。

 もちろん、こうしたヲタたちの批判は田中の耳にも届いていた。直撃するなり「この際、言っておきますけど」と前置きしながら、こう訴えた。

「みんないろいろ言ってますけど、いろいろなアイドルが好きで、何が悪いんだって思ってますからね。スポーツ選手でも、みんなチーム関係なく、どの選手が好きだなんだって言うじゃないですか。ひとつの球団、チーム、グループに対して、どこどこのあの子がいい、どこどこのそこがいいと言っているのと一緒ですよ」

 グループに限定されたものではない、壮大な“アイドル愛”があるからこそのDDであることを訴えた。

 なぜ、そこまでアイドル好きなのか。かわいいからだけではない。体育会系的なノリに共感を抱き、彼女たちの「一生懸命さ」に圧倒され、パワーをもらうこともある。メンバーの一人ひとりまでチェックし「感情移入してしまいますね」(田中)という。

 曲もしかり。自宅や宿泊先から球場までの移動、トレーニング、そして登板前にはアイドルの曲は欠かせない。

 登板前などは激しい曲調のもので闘争心をかき立てる選手もいるが、田中は「僕はアイドルの曲を聴いていればいい。自分の好きな曲で(気分が)上がるわけですから(他の選手は)それがアップテンポなだけ。僕はいろんな(アイドルの)曲調のものを聴いて、上げられればそれでいいやと思ってますから」。もはや“突き抜けている”と言っていい。

 時間がある日はライブに足を運ぶ。昨年10月に帰国すると、乃木坂46のアンダーライブ(アンダーメンバーと研究生によるもの)を観賞。さらには、まい夫人同伴で「モーニング娘。’14」のライブにも足を運び、グループを卒業する道重さゆみの姿を目に焼き付け、自身のツイッターに「温かいライブでした」とつぶやいた。12月は3日にFNS歌謡祭にゲスト出演したかと思えば、16日にはAKB48紅白対抗歌合戦で始球式を行った。25日はももいろクローバーZのクリスマスコンサートに特別ゲストで出演。そして31日のNHK紅白歌合戦…。さらに本紙お正月特別号スペシャルトークでは乃木坂46の生駒里奈と白石麻衣と“合体”するなど、まさに「アイドル漬け」のオフを堪能しているのだ。

 堂々と“アイドル博愛”を宣言し、実践する田中。果たして賛否両論が巻き起こるのか――。