一足早いビッグすぎるお年玉だ。広島は27日、ヤンキースからフリーエージェント(FA)となった黒田博樹投手(39)を獲得したことを発表した。今季も11勝を挙げるなど衰え知らずの右腕にはメジャー球団も破格のオファーを出していたが、黒田は年俸4億円+出来高払い(推定)の1年契約で愛着のある古巣復帰を決断した。24年ぶりのリーグ制覇を狙う赤ヘルにとっては最大級の“補強”。来季は8年ぶりの日本球界となる右腕には、相乗効果と偉業達成の期待が掛けられている。

 年の瀬にデカすぎる吉報が舞い込んだ。毎年シーズン後に黒田と会談を持ち、今オフも3度の直接交渉に当たった鈴木球団本部長は「26日に『帰ります』という連絡があった。自信も確信もまったくなかった」と説明。メジャー球団ではパドレスが21億6000万円を提示するなど苦戦必至だった。それでも「心が折れそうになることもあったが『折れちゃいけない』としっかり糸を握っていた。彼を送り出すときのファンの方の願いが届いたんだと思う」(鈴木本部長)と、粘り強くラブコールを送ったことが実を結んだ。背番号は移籍前の2007年まで背負い、球団が復帰を祈って“欠番”にしていた「15」に決まった。

 右腕復帰による“相乗効果”は絶大だ。「マエケンと2人で軸になって働いてもらいたい」(鈴木本部長)と、前田との“Wエース”でのフル回転や「行動や野球に対する姿勢など見習うことが多い。若手にとっては大きなこと」(松田オーナー)と早くも若鯉のお手本役が求められているが、ベテラン勢の発奮材料としての期待もある。

 若手選手の成長でチーム力アップに成功した赤ヘルだが、優勝のためにはベテランの力も欠かせない。鈴木本部長は「ベテランも『頑張るぞ』という気持ちがわいてくれると思う」とくしくも元エースと同時復帰となった元主砲・新井らベテラン勢の奮起に期待を寄せている。

 球団内も大黒柱復帰に大盛り上がりだ。現在、日米通算で182勝を挙げている右腕。「一年一年と考えていると思う」(鈴木本部長)と黒田本人は意識していないようだが「一年で18勝することができる力はある。(来季中に)200勝に達してくれれば、チームもさらに勢いが付く」(チーム関係者)と一気の名球界入りにも期待が集まっている。

 松田オーナーは「これからが始まり。本腰を入れて(黒田が)野球に集中できる環境をつくりたい」と大物の復帰にも気を引き締めているが、黒田の凱旋によって赤ヘルの24年ぶりのリーグ制覇、そして31年ぶりの日本一が現実味を帯びてきていることは間違いない。来季の赤ヘル旋風に期待大だ。