死の淵から2度生還したジョニー・ゴームズ

2014年12月25日 09時00分

元局アナ 青池奈津子「メジャーオフ通信:特別編」

「僕の毎朝は『よし! 今日も目が覚めた!』で始まるよ。健康であることが当たり前だと思っちゃいけない。周りにいる家族や友達がいつもいてくれるって思っちゃいけない。頭の上に屋根があることも当然だとは思っていない」

 そう口にするジョニー・ゴームズ(34)の言葉には、重みがある。2002年のクリスマスイブ。当時22歳の若さで心臓発作を起こし、間一髪で危機を乗り越えた。その数年前には高校1年生の時に友人たちと乗っていた車が事故に遭い、同じ野球チームで親友のアダム・ウェスコットさんを亡くしている。幼いころに両親が離婚し、母と兄の3人での生活は楽ではなく、電気代も払えず冷たいシャワーしか浴びられなかったこともある。

「『人生で起こること全てに意味がある』って強く信じているわけではないけれど、どんなことにでもポジティブなことは見つけられる。だって、これだけの経験をしても自分がここにいるって本当にラッキーだから」

 ほんの一瞬が生死を分けることをよく知っている説得力のある言葉だ。

 16歳の時の事故は、どの席に座るかをコイントスで決めた。たまたま後部座席に座ったことが運命の分かれ道となった。右腕に親友のイニシャルのタトゥーを携えるジョニーは「彼はもういないけど、彼の人生も祝いたい。僕は2人分の人生を生きているんだ。彼こそが最高の選手で、彼のために僕も最高の選手になろう。彼がそう後押ししてくれたから」。

 そして――。イブの時に発症してしまった心臓発作は、3つの大動脈の1つが血栓症を起こしていたにもかかわらず、27時間も気が付かずに放置していた。すでにマイナーリーグにいた彼は、腕のしびれはトレーニングが、胸の痛みは兄と食べに行ったブリート(メキシコ料理)からくる胸焼けだと思っていたのだ。

「20歳そこそこで、家族にも心臓を患っている人はいないし、まさか心臓発作だとは思わないよね。一瞬気絶して、おかしいからって病院へ行ったら、ドクターに『もう1回寝ていたら、100%心臓が止まっていたでしょう』って言われたんだ。8日間入院していろんな検査をされたけど、結局、原因は分からなかった」

 退院直後に、それまで感じたことのない気持ちを味わった。

「まるで太陽に打たれた感じ。腕や首を太陽に照らされて…それまで太陽なんて意識したことなかったけど、美しかった」

 今でもそんなふうに感じることがあるという。

「これだけのことを経験して、落ち込まなかったのか」と聞くとジョニーは「スポーツがあったから」と答えてくれた。

 米国には「クリスマス・ミラクル」という言葉がある。皆様のもとにも、聖夜に素晴らしい奇跡が訪れますように。

☆ジョニー・ゴームズ=1980年11月22日生まれ。34歳。米カリフォルニア州サンフランシスコ出身。右投げ右打ち。身長185センチ、体重104キロ。2001年にドラフトで指名されたデビルレイズ(現レイズ)に入団。03年にメジャー昇格を果たし、05年からパワーヒッターとして本格的にブレーク。レッズ、ナショナルズ、アスレチックスを経て13年からは2年契約を結んだレッドソックスでプレー。同年のワールドシリーズ制覇にも大きく貢献した。今年7月からはトレード移籍でアスレチックスへ復帰し、チームをポストシーズン進出へ導く。今オフはFAとなり、去就が注目されている。

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