田中「切れる時は切れる。後悔だけはしない」

2014年12月31日 09時00分

【ヤンキース田中将大 161億円右腕 激動の1年(最終回)】9月21日(日本時間22日)のブルージェイズ戦で、復帰登板したヤンキースの田中将大投手(26)は27日(同28日)のレッドソックス戦にも先発した。しかし、MAX150キロを計測したものの、1回2/3で7安打7失点(自責点5)と自己ワーストタイで降板して今季最終登板を白星で飾ることはできなかった。

「トミー・ジョン手術(靱帯修復手術)」を行わず、PRP療法で復活できたのは、ひとまず“成功”といっていいだろう。しかし、一度断裂した靱帯は完全に治癒することはないといわれる。今後は再発の危険性とも向き合う必要がある。

 右肘を痛めた原因は何だったのか。10月1日(同2日)の総括会見では「それは言えないですよ。それを言うことによって自分の弱さというものをさらけ出すことになるので、それは言いたくないです」とかたくなに口を閉ざしたが、米メディアでは「スプリットが肘に負担をかけた」との意見が大勢だ。

 しかし、日本球界からはスライダー原因説が挙がった。あるNPB球団のトレーナーはこう話す。「スプリットやフォークは『抜く』ボールなので肘への影響はそこまで大きくない。むしろ負担をかけるのは『ひねる』動きを要するスライダーなんです。田中の断裂部分は肘の内側のようですが、それはひねることで起きる『外反(がいはん)ストレス』がかかる場所。スライダーの投げすぎが引き起こしたのではないか、と見る関係者は少なくないですよ」。別の球団の関係者は「スライダーに関しては肘に負担をかけるので、カットボールを代用として習得する投手が増えている」と明かす。実際、日本ではスライダーの影響で肘の痛みを訴える投手が増えているという。

 今季、田中がスプリット、スライダーを投げる割合は日本時代よりも増えた。3球、4球連続でスライダーやスプリットという配球も多かった。前出のトレーナーは「再発を防ぐためには、スプリットよりも、むしろスライダーを少なくしていくことが重要ではないかと思います」と話した。

 原因はスライダーなのか。田中を直撃すると「僕はそんなふうに思ってないですよ。どの球種が、という問題じゃないですよ」という答えが返ってきた。ヤンキースのロスチャイルド投手コーチはこう話す。「スプリッターやスライダーが肘に悪いかといえば、(田中に限らず)確かに負担をかけているかもしれない。可能性はある。だが、速球にしても肘にストレスはかかる。一概に何がとは言えないと思う」。スライダーを問題視しないという。

 総括会見で再発の不安について聞かれた田中は「正直、言葉は悪いかもしれないですけど、別に靱帯があらかじめ切れているか切れてないかっていうのも、わかっていようがわかっていまいが、切れるときは切れると思います。そんなことを気にしては多分、プレーできないと思うんですよね。けがするときなんて誰にもわからない、予想だにしないことでけがすることもあるだろうし。後悔なく悔いの残らないように、ずっとプレーしていけたらとは思います」と吹っ切るように語った。

 一方で「どうしてこうなったのかだったり、こういう状況にならないためには、どうしていかなければいけないのかというのも、自分なりに考えている」とも口にした。

 田中はメジャー1年目に天国だけではなく地獄も見た。来年、背番号19はどんな投球を見せてくれるのか。