二刀流がまた快挙だ。米大リーグ機構(MLB)は6日(日本時間7日)に週間MVP(6月28日~4日=同29日~5日)を発表し、ア・リーグはエンゼルスの大谷翔平投手(27)が受賞した。今季は6月(14~20日=同15~21日)にも選ばれており、3週間で2度目で通算4度目だ。そんな大谷の露出が足りないと米スポーツ界の辛口ご意見番がMLBに注文を付けた。どういうことか――。

 先週の大谷は6試合に出場して21打数6安打、打率2割8分6厘ながら6本塁打、8打点。1・0を超えれば超一流とされるOPS(出塁率+長打率)は驚異の1・543だ。3週間で2度は日本人選手初。年間2回受賞はルーキーイヤーの2018年(4月2~8日、9月3~9日)以来、2度目でこれも日本人初だ。

 通算4度は野茂英雄、松井秀喜と並んで日本人2位タイで、最多の5度を数えるイチローにあと1と迫った。野茂が12年、松井が10年、イチローは19年、それぞれメジャーでプレーしており、大谷のすごさが分かるだろう。地元放送局バリー・スポーツ・ウエストは公式ツイッターに「この際、(週間MVPを)大谷翔平アワードと呼ぼうではないか、というのが私の意見だね」と投稿した。

 日本のテレビ各局はニュース番組、ワイドショーなどでも連日、大谷を大々的に報じるほど世間の関心、注目度は高いが米国ではまだ、ジャンルを越えたスーパースターではないという。

 米スポーツ専門局ESPNのスポーツジャーナリストで辛口のご意見番で知られるスティーブン・スミス氏は6日に放送された自身の番組内で「大谷翔平のマーケティングが足りてない!」とMLBに激怒した。
「野球ファンが彼のことを全て知っているのは、知っている。しかし、野球ファンでなければ、大谷のことを知らないかもしれない。それは、MLBにとって大きな問題だ!」と3分間シャウトしながら力説した。

「大谷翔平は、野球におけるベーブ・ルース以来の最高のフォース(力)! ルースは、全米における最も有名な人の1人なんだぞ! 分かるか? 大谷の成績はほぼルースを超えている! 野球の手元には、現代のルースがいるわけだ! それなのに(MLBは)何をしていると思う? 何かしていると思うか?」

 大谷のCMを見ないことや本拠地エンゼル・スタジアム以外で、大谷のユニホームを着ているファンを見かけないなどを挙げ、米国で大谷が野球ファン以外で知名度があまり高くないことを嘆いた。

「MLBはもっとマーケティングを頑張らないと!モダンなベーブ・ルースが台無しだ! これは本当に本当にダメだ! こんなこと、私に説明させないでくれ!」と声を張り上げた。

 史上初の二刀流で出場するオールスター戦(13日=同14日・デンバー)はチャンス。前日の本塁打競争も注目を集めるだろう。5日(同6日)時点で31本塁打は2位のブルージェイズのゲレロに4本差の独走。67打点はメジャートップのレッドソックスのディバースと4点差だ。2冠王、シーズンMVP獲得も現実味を帯びてきた。さらに20盗塁(現在12個)、2桁勝利(同3勝)の期待もかかる。ここからどこまで数字を積み上げるのか。前人未到の成績を残した時、大谷は全米を席巻する。楽しみだ。