チームを復活させた“ジャイアンツの兄貴”

2014年10月28日 16時00分

元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

 

【マイケル・モース(ジャイアンツ)】毎年いろいろなドラマがあるが、やはりワールドシリーズに勝るものはない。28年間も頂上決戦とは無縁でジャングルの獣みたいにワイルドに戦うロイヤルズも好きなのだが、リラックスしたエリート集団・ジャイアンツの野球もかっこいい。

 

 2012年にワールドチャンピオンに輝きながら翌年の昨季は借金10でナ・リーグ西地区4位に沈み、ポストシーズン進出すら果たせなかったジ軍。そんなチームの再建役として今季からジ軍入りを果たし、見事な活躍でチームを2年ぶりのワールドシリーズへと導いたのが「マイク」ことマイケル・モースだ。

 

 母子家庭で育ったことから母思いの優しい性格の持ち主。それもあって懐も広く、ジ軍では必要不可欠な“兄貴的存在”となっている。しかし、そんなマイクも13年のシーズンは一時、挫折寸前にまで追い詰められたという。ナショナルズから古巣マリナーズへのトレードに始まり、小指の骨折や手首のケガにも泣かされ「もう野球ができないかもしれない」と絶望的な気分にまで陥ってしまったからだ。

 

「原因が分からなくてね。(地元で)一番有名な医者のところへ行って、こう言ったんだ。『手首を開いて悪い所を探してくれ。そして治してくれ!』って。そうしたらその先生が、問題の箇所を発見してくれた。骨の破片があって、それが手首の痛みにつながっていたんだ。取り除いてもらってからは、もう大丈夫」

 

 絶望のふちから這い上がったとき、プレーしたいと思ったのがジ軍だった。まだジ軍に移籍したばかりだった今年の春季キャンプ当時、彼は私にこう語ったことがある。「選手は、再建中のチームには行きたくないと考えるものかもしれない。でも、このチームは今のメンバーで(12年の)ワールドシリーズを制している。ブルース・ボウチー監督も好きだったんだ。彼のスタイルとか、彼の選手の扱いとかがね。それにこのチームは選手たちがそれぞれの役目をこなし、チームに貢献している。ワールドシリーズに勝ちたいし、彼ら(他のチームメート)がしたことをしたいし、彼らもまた“あの舞台”に戻りたいと思っている」

 

 あれからあっという間にシーズンが過ぎ、今こうして“あの舞台”で戦っている彼の姿を見るのがうれしい。

 

「野球は、僕の人生の全て。試合前にフィールドへ出て、芝生のにおいを感じ、ファンの声援を感じ、チーム名がアナウンスされてグラウンドに飛び出して行く時…。たとえその日に何があろうとも、あの瞬間はリラックスできるんだ」

 

 注目の第6戦は28日(日本時間29日)、カンザスシティーで行われる。マイクのことを思うと、やっぱり王手をかけたジ軍を応援してしまうかもしれない。

 

 ☆マイケル・モース 1982年3月22日生まれ。32歳。米フロリダ州フォートローダーデール出身。右投げ右打ち。身長195センチ、体重111キロ。2000年に指名を受けたホワイトソックスへ入団。04年にマリナーズへ移籍。05年5月にメジャーデビューを果たし、内外野をこなすユーティリティープレーヤーとして活躍。09年6月にナショナルズへトレード移籍し、11年には打率3割3厘、31本塁打、95打点をマークしてチームのポストシーズン進出に大きく貢献した。その後は古巣マ軍、オリオールズと渡り歩き、今季は1年契約を結んだジャイアンツでプレーしている。

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