プロ野球のドラフト会議が23日、東京都内のホテルで開かれ、目玉だった早大のMAX156キロ右腕・有原航平(22)には阪神、広島、日本ハム、DeNAの4球団が1位指名で競合。くじ引きの結果、日本ハムが交渉権を獲得したが、プロでどのくらい活躍できるか。ヤクルト元取締役編成部長の片岡宏雄氏(78)が有原と楽天1位の済美・安楽智大投手(17)、巨人1位の智弁学園・岡本和真内野手(18)のビッグ3の未来を診断した。

 4球団が競合し日本ハムが交渉権を獲得した早大・有原。187センチ、90キロの恵まれた体格からMAX156キロの剛球を繰り出し、シュート、スライダー、チェンジアップなど変化球の精度も高い。片岡氏も「素材は一級品。あれだけの馬力、体力がある。体つきは巨人の菅野のようだ」と高く評価する。

 しかし、有原は今秋に右ヒジを故障。病み上がり登板となった18日の東京六大学リーグの立教戦を観戦した片岡氏は有原の投球に物足りなさを感じたという。「悪いわけではないが、力いっぱい腕が振れていなかった。球速も140~145キロでまあまあ。覇気もなかったね。彼が一番よかったのは大学2年のころ。いい時は150キロ以上出せるわけだから取り戻せれば戦力的にプロで先発の柱になれるが、今の状況では…」と首をかしげた。

 高校生で剛腕といえば、2球団による抽選で楽天が引き当てた済美の安楽だ。MAX157キロのストレートは将来の日本ハム“大谷超え”の期待も膨らむ。片岡氏は「素材は完璧。プロで十分やれるし、チームの柱になれる。体のバランスが取れていて、うまくいけば田中(ヤンキース)やダルビッシュ(レンジャーズ)になれる」とみている。

 だが、こちらも昨秋からの故障で今年の甲子園出場は果たせず、今後の課題も多い。片岡氏は「無理して投げていたからね。体が大きすぎて持てあましているんだ。せっかくのがたいを使いこなせていないから故障する。フォームもそうだけど、下半身ができていない。アンバランスで上半身だけで、あのスピードを投げている。下半身を作ってコントロールが決まるようになればね。プロで何年かかけてコンディション作りを考えないといけない。160キロ? 簡単にはいかないよ。まだ3歳馬だね」と厳しい見方を示した。

 片岡氏が最も評価しているのは、巨人が一本釣りの智弁学園の超高校級スラッガー・岡本だ。高校通算73本塁打の右の長距離砲。片岡氏は「バットスイングの速さ、長打力。ミートのうまい打者はいても、本塁打は打てない。左打者ではいても右はいない。体のバランスもいいし、懐も深い。4番に定着したら10年はそのチームは安泰だろう」と絶賛した。

 一方で「本塁打になるのは投手の失投が多い。ボール球に手を出さず、甘い球を確実に仕留められるようにならないといけない」「守備はサードは無理。外野か一塁だね」とまだ粗削りな部分、課題はある。それでも「高校時代で見たら、打撃は松井(元巨人、ヤンキースなど)よりいい。勝るとも劣らないね。松井もすごかったけど、彼は右だから」とゴジラを継承できる逸材という。その上で「まずはプロで投手のボール、駆け引きに慣れること。球団は外国人に頼らず、結果が出なくても中田(日本ハム)のように目をつむって使ってほしいね」と岡本を受け入れる環境も大切とした。