FA去就が注目されるオリックス・金子千尋投手(30)に球団が“マネーゲーム上等”で残留交渉に臨む。20日、瀬戸山球団本部長は「争奪戦は覚悟の上だし、それだけの選手。何かリクエストがあるなら最大限の努力はするし、柔軟に対応していく。宣言残留? それもある。まずは残っていただくことが最優先なので」と、近く始まる交渉に並々ならぬ決意を見せた。


 推定年俸2億円ながら今季16勝5敗、防御率1・98で最多勝と最優秀防御率の2冠を獲得した球界ナンバーワン投手。破格条件の争奪戦が予想され、オリックスも目の色を変えてきている。球団幹部は「これまでウチは最初に設定した金額の上積みをしなかったけど、金子だけは特別。近年まれに見るすごい投手というのは間違いない。誠意は金額しかない。宮内(義彦)オーナーに懇願することになるだろう」とみている。


 オリックスは近年、FA交渉や外国人選手の残留交渉などで他球団とのマネーゲームに乗ることをしなかった。昨オフの李大浩もそれでソフトバンクに移籍された経緯がある。しかし、今回ばかりは金額で負けてヨソにさらわれるわけにはいかない。


 ある本社関係者は「ウチはイチロー(ヤンキース)にだって何年も5億円を払っていた。(金子は)人気はともかく、実力的にはそれに匹敵するくらいの選手。20億だって出せないことはない。代わりの利かない選手。李大浩(の場合)は代わりにペーニャが来て32発も打ってくれたけど、金子がいなくなると、代わりは見つからない。次元の違う選手なんだ」と4年20億円の大型契約も辞さない構え。チームの“至宝”を絶対に手放さない覚悟だ。