【ニューヨーク発】ヤンキースの田中将大投手(25)が1日(日本時間2日)、ニューヨーク市内のホテルで会見を行い、激動のメジャー1年目を総括した。前半戦だけで12勝の快進撃、しかし、7月に野球人生初となる肘の故障。そして支えてくれた家族の存在――。30分間にわたり、日本メディアの質問の一つひとつに丁寧に答えた。

 午後2時、会見場に姿を現した田中は、シーズン中に漂わせていた緊張感がほどけたかのような、穏やかな表情だった。

 田中:自分自身もシーズン半分くらいしか働けてませんし、チームとしてもプレーオフ逃しているので、やっぱり悔しいシーズンだったと思います。

 4月4日(同5日)の初登板から9戦目の初黒星まで6勝無敗、前半戦だけで12勝をマーク。米メディアは「サイ・ヤング賞」の有力候補と報じた。

 田中:僕自身もある程度ゲームを作れたことが、勝ちに結びついたのはあると思いますけども、基本的にピッチャーは、野手の方々に点を取っていただいて勝ち星がつくと思うので「12」という数字はみなさんのおかげ。投手ができることは失点を少なく抑えて、チームの勝ちをあげることしかできないので、勝ち星という点では自分のなかでは重要だとは思ってないですね。もちろん、ついてきた方がいいものではありますけども。

 7月に右肘を故障。その原因について聞かれると表情を引き締めた。

 田中:いや、それは言えないですよ。それを言うことによって自分の弱さというものをさらけ出すことになるので、それは言いたくないです。

 再発の可能性に話が及ぶと、覚悟を語った。

 田中:正直、言葉は悪いかもしれないですけど、別に靱帯があらかじめ(部分的に)切れているか切れてないかっていうのも、わかってようがわかってまいが、切れるときは切れると思います。僕も部分的に(断裂している)という診断されている。ずっと再発するんじゃないかと言われるのもわかりますけど、そんなことを気にしては多分プレーできないとは思うんですよね。ケガするときなんて誰にもわからない、予想だにしないことでケガすることもあるでしょうし。誰もいつどうなるかというのはわからない。後悔なく悔いの残らないように、ずっとプレーしていけたらとは思います。

 そんな田中を支えてくれたのはまい夫人(30)。感謝の気持ちでいっぱいだ。

 田中:いつも、どういうときも変わらないでいてくれましたよね。それが一番自分としては普通でいられるというか…言葉にするのも難しいんですけど、普通の自分でいれる。すごくリラックスした状態で家で過ごせていると思います。シーズン終わってからは、お互いに「一年間お疲れさまでした。一年間ありがとう」っていうことは(言った)。自然とそうなりましたよね。

 来季はエースとして1年間、先発ローテーションを守り、200投球回がノルマになるだろう。しかし、田中がこだわるのは内容だ。

 田中:(200イニングという数字へのこだわりは)あんまりないですかね。試合数少なくても200(イニング)投げればいいやってわけでもないと思う。先発したなかで少ない球数で長いイニング投げて、というのがいいと思います。そこが絶対ではないですけど(今季)僕は130~140イニングくらいしか投げてませんから、まずはそういうところを投げなければいけないかもしれませんけど。

 2015年、背番号19は絶対エースとして相手打線を圧倒する。