エンゼルスのジョー・マドン監督 米球界を代表するファンキーなオヤジのボランティア支援活動

2021年05月10日 14時00分

大谷のリアル二刀流を演出するマドン監督(ロイター=USATODAY)

【元局アナ青池奈津子のメジャー通信=ジョー・マドン監督(エンゼルス)】キャンピングカーで生活しながら、自転車を乗り回す、米球界を代表するファンキーなオヤジ、エンゼルスのジョー・マドン監督。大リーグファンにとってはおなじみであり、元レイズの岩村明憲さん、松井秀喜さんやカブス時代のダルビッシュ有、今季はリアル二刀流の大谷翔平とともに名前が挙がるので、日本でも印象的なサングラス姿が思い浮かぶ人は増えただろう。
 非常にコミュニケーション能力にたけた人格者で、Zoom会見時代の今は難しいが、こちらが話したいと思ったら、それを察して足を止めてくれる監督だ。

 8年前にはこんなことがあった。監督インタビューを「その日はどうしても忙しいから」とレイズの広報に断られ、完全に諦めていたときのことだ。私の前を通り過ぎたジョーがきびすを返し「なんか聞きたいことがあるんでしょ?」と気さくに声をかけてくれてインタビューに成功したことがある。「超能力があるんじゃないかと思う」と証言する選手もいるほどで、ジョーの察知能力の高さや包容力は半端ないと常々、思っている。

 そのジョーと、以前に「必ず書くね」と約束した話がある。

「僕はね、信じているんだ。誰もが1日でいいから、どんなものでもいいから、地元のちょっとしたボランティア活動に参加してくれたら、現状を知って物の見方が変わるって」

 今回はジョーがどれだけ社会貢献していて素晴らしい人物か、という話ではない(当然それもあるが)。ジョーと妻のジェイさんは2015年に「リスペクト90」という慈善団体を立ち上げ、「基本的に自分が住んでいるところでやるのが一番いい」というジョーのポリシーのもと、出身地ペンシルベニア州ヘイゼルトン、フロリダ州タンパ、イリノイ州シカゴ、アリゾナ州のメサやテンピ、カリフォルニア州ロングビーチで様々なチャリティー企画を立てて支援活動を行っている。

 今でこそしっかりした組織として活動しているが、ジョーの慈善活動は監督になる前からだ。

「以前エンゼルスにいたころ、よく自転車でビーチに行ったんだ。ハンティングトンビーチからニューポートビーチにかけて自転車をこいでいるとショッピングカートを押して生活している人々(ホームレス)がたくさんいるのが目についた。それで、ある時から自分のトラックに荷物を積んでいって配るようになった。子供が多いんだ。シングルマザーも。あとは精神病を患ってしまった退役軍人など。決して怠惰だからホームレスになったわけではなく、何らかの事情で助けを必要としている人たち。そんなに頻繁にはできなかったけど余分なものがあるときに。妻に、監督になったらまずホームレスを支援する活動をしたいと話していたんだ」

 実際、06年にレイズ監督に就任し、ホームレスに食事を配る「サンクスマス(サンクスギビングとクリスマスをかけたもの)」企画をスタートさせた。

 私がジョーとチャリティーの話をするきっかけになったのは、ジョーが球団と協力して毎年行っている小児がんの治療で髪の毛を失ってしまう子供たちを支援するための散髪イベント。自ら頭を丸刈りにして子供たちを勇気づけたり、選手やスタッフらにも参加を募り、集めた募金で病院の散髪室などを子供たちが少しでも居心地良くなるよう改修費用に充てたりしている。カブス、エンゼルスと所属チームが変わっても引き継いできただけでなく、レイズでは、ジョーの退団後も続けているという。

 なんてすてきなアイデアだと思ったが、恥ずかしながら19年にジョーがエンゼルスに復帰するまで私はこのチャリティーイベントについて知らなかった。

「そうなんだよね、もっと報じられてもいいと思うんだ」

 それには賛成なので、ジョーの言葉を借りてもう少し伝えたいと思う。

 =次回につづく=

 ☆ジョー・マドン 1954年2月8日生まれ。米国・ペンシルベニア州出身。67歳。大学卒業後、エンゼルスのマイナーで捕手としてプレーし、メジャー昇格がないまま現役引退。96年からエンゼルスのベンチコーチを務める。2006年にデビルレイズ(現レイズ)監督に就任。08年にチーム初の地区優勝を果たし、ワールドシリーズ進出。15年から指揮したカブスでは16年に世界一に導いた。17年には史上63人目の監督通算1000勝を達成。20年からエンゼルス監督。昨季までの監督成績は2381試合で1278勝1103敗、勝率5割3分7厘。08年と11年にア・リーグ最優秀監督賞、15年にはナ・リーグで同賞を受賞した。

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