侮辱ジェスチャーでファンに謝罪も素顔は穏やかな大男

2014年09月07日 16時01分

元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

 

【ジョー・ネーサン投手(タイガース)】レギュラーシーズンも残り1か月。春には長いと思えた162試合も、あっという間に感じるのは何年も変わらない。今年のニューヨークは冷夏だったこともあり、早い秋の訪れとともにすでに名残惜しさが漂うが、フィールドの男たちは熱さを増していく。果たして、どこのチームがポストシーズンに進むのか。

 

 春の段階で私のア・リーグ中地区の予想はタイガースだった。去年に引き続き、スター揃いな上、チームの雰囲気がすこぶるいい。しかし、ここにきて少し苦戦している。これまで地区優勝が確実視されていただけにファンたちにも不安が募り、球場では勝っていても「もっと頑張れよ」という意味を込めてブーイングが飛び交う。

 

 そこで少し前に問題になったのが、守護神ジョー・ネーサンのファンを冒トクするかのようなジェスチャー。セーブ後に会場に向けてアゴを触って払いのけるジェスチャーをしてみせた。これは米国で「フ○○ク・ユー」の合図と取られるらしい。

 

 当然ながら試合後に謝罪コメントを出すことになるのだが、そこでジョーは「ファンたちと同じように僕らも勝ちたいんだ。味方でいてほしい」と口にした。2児の子を持つ父親として「恥ずかしいことをしてしまった」とも話していたが、それだけこの時期は緊張感が高まっている証しでもある。

 

 このジョー、本当はとても優しくて穏やかな人である。ニューヨーク州のサークルビルという、信号機が2つしかないような小さな田舎町で育った彼は今でこそ193センチの長身だが、高校生になりたてのころは170センチ、68キロと選手としては小柄な体形だった。大学時代にようやく身長と体重が増え、なんとなく野球選手の夢が実現しそうに思えた1995年、遊撃手としてジャイアンツに入団する。

 

「本当は、もう少し遊撃手でもやらせてほしかった。今でこそ自分は投手なんだと思うけど、いまだによく思い出すよ。投手としては本塁打を2本打っているから、それは自慢だけどね」

 

 実はマイナー2年目で投手転向を言い渡され、一時野球を辞めて大学に戻っている時代がある。ビジネスの学位を取ってから「友人の働く証券会社で電話営業を10時間していた時に『これはいつまで続くんだ?』って思って、またプロを目指したいと思ったんだ」

 

 連絡をしたジ軍は「MLBに手紙を書くならば」と再入団を承認。スカウトたちがもともと見込んでいたように、ジョーはたった2年でメジャー昇格を果たすのである。

 

 今年で40歳のジョーは、まだ優勝リングを手にしていない。試合を守るクローザーを10年以上務めてきた彼がファンに対して行ったジェスチャーは、礼儀的には間違ったものだったかもしれないが、その情熱は伝わってきた。

 

 ☆ジョー・ネーサン=1974年11月22日生まれ。39歳。米国テキサス州ヒューストン出身。右投げ右打ち。身長193センチ、体重104キロ。1995年のドラフトで指名されたジャイアンツへ入団。遊撃手から投手への転向プランに難色を示して一時チームを離れていたが、約1年間のブランクを経て97年5月に復帰。投手としての才能が開花し、99年4月25日のマーリンズ戦でメジャーデビュー。03年オフにツインズへ移籍するとチームの守護神に定着。レンジャーズを経て今季からはタイガースでクローザーを務めている。球宴にも過去6度出場しているメジャー屈指の「絶対ストッパー」。

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